恐妻と愛妻は紙一重

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 岳父との会見を無事に終えて戻ってきたとき、信長が岳父のことを高く評価する発言をすれば、「父と殿は、変人同士で気が合うのでしょう」とそっけなかった。  帰蝶の父道三に対する評価は、辛辣だった。 「父は、詰めが甘いところがありますから。いずれ、兄高政に討たれて死にますよ」とまで言った。  ふんと鼻を鳴らして、「愚鈍な六尺五寸殿(高政のあだ名)が、おやじどのに勝てるわけがなかろうが」と信長があしらえば。 「変人の父や殿とは違って、兄は、常識人の努力家で人望がありますからね。殿にとっては、父よりは兄の方が、一筋縄ではいかない手強い相手となるでしょうよ」そう冷たく言い返された。
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