恐妻と愛妻は紙一重

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 そんな妻よりも、信長にとっては、妻の弟である新五の方がはるかに可愛い。  目に涙をためて父の死の悲しみをぐっとこらえ、少年の面影を宿した義弟の姿には、さすがの信長ももらい泣きをしそうになったくらいだ。  新五は、帰蝶によく似た美貌の持ち主だが、姉とは違って、素直な性格で実の兄のように信長を慕っている。  なさぬ仲であるはずの側室やその子どもらからは、寛大で慈愛深いと慕われている帰蝶であるが、夫である信長に対しては、その片鱗を見せることはほとんどない。  帰蝶に、せめて新五の可愛さの半分でもあればと思うが、無理な話である。  
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