3人が本棚に入れています
本棚に追加
情報が漏れて妨害がないように、アナログな手法が採用され、録音は板橋区のスタジオで、ファンシーヌが生成したものを即興で「サウンドセッション」が演奏した。
36時間4回のセッションで計3枚のレコード原盤がプレスされ、それをプロデューサーとPINTA、それに私が1枚ずつ持ち出した。
PINTAは自ら運転するBOXカーで、プロデューサーは車で、そして、私はなんと都営地下鉄で最寄り駅まで帰った。
妨害者もまさか私が一枚、それも無防備な電車で持って帰ってるとは思わない。
PINTAもプロデューサーも事故で、レコードが割れたり警察になぜか押収されたりしていた。
残り1枚を、私は長野にある国内唯一のレコードプレス工場に持ち込むべく新幹線に乗り込んだが、その前に、東京駅前の郵便局で、擬装用に手持ちの他のレコードを海外のプレス工場に発送した。
ところが、である。
東京駅構内で尾行されているのに気づいた。
新幹線に乗るのをやめて、そのまま丸の内口からタクシーで自宅へ向かった。
だが、行く先々で、バイクや電動キックボードなどが入れ替わり追跡してくる。
私は自宅へ戻るのを断念して、なんとか尾行をまいて、長野へいくことを選択した。
ファンシーヌへ緊急を告げるメッセージを送った後、私はスマホの電源を切った。
位置情報システムで現在地を知られたくなかったからである。
早稲田鶴巻町でタクシーを降り、それでも追跡してくるドローンをかわすため、私は古本屋で飼料用に購入した住宅地図を広げて、新宿へ走った。
ドローンは現在の地図で私を探している。
古い住宅地図記載の道はすでになかったりするが、実は、家と家の間の路地としてまだ通れたりする。
新宿へ行くのが、北参道駅に出てしまい、そのまま副都心線と東急線で横浜まで来てしまった。
ここから横浜線で八王子まで出て、そこから長野へ、と思ったとき、トートーバッグに数本のデジタルダーツが刺さった。
近くにネトウヨらしい若者がダーツの射出パネルを持って歩いていた。
駅構内だったので、すぐに警察に拘束されたが、トートーバッグに隠したレコードは粉々になっていた。
レコード発売による山上サウンド普及策は失敗に終わり、「ALL!」の佐橋が誇らしげに動画サービスで、AI音楽普及のデメリットを拡散していた。
最初のコメントを投稿しよう!