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エルシィが寝入って、ゼナイドもウトウトし、そろそろ眠りに入る頃だった。ニノから声をかけられ、家の外に出る。
「ゼナイドさん、キノを知っていましたから」
雪は止んでいた。水の季節の星空は、他の季節に比べて随分と明るい。テティアの村に明かりがついている建物がないこともあって、純粋に星の光が降り注いでいた。
「ニノのお話を聞いていただきたいですから」
ゼナイドはニノへ、キノとリルレの町で会ったこと、一緒に星の砂を探したこと、キノはゼナイド達より早くにリルレを発ち、恐らくレッハルトへ向かったであろうことを話した。
ニノはゼナイドの話を聞き入れて、しばらく何かを考えていた。
「ニノは、キノを追っているのか」ゼナイドの問いにニノは小さく頷いた。
「一季節のうちに、レッハルトに行っていれば。キノは入団試験を受けているの可能性は高いですから…ウ~ン」
「キノに入団してほしくないような言い方だな」
「半々ですから。キノに大陸議会に入ってほしい気持ちと、そうじゃない気持ち」
キノが魔法師団に入団したら、ふたりの間に大きな差がまたできてしまう。
「ゼナイドさん、キノからニノのお話、聞きましたから?」
「ああ、まあ…凄い姉がいると聞いた」
「んま。ゼナイドさん、お話きちんと聞いています?」
「能力を見ると君の方が上だと言っていたはずだ」
「ああ…」
ぼんやりと空を見上げて小さくため息をついた。
「ニノの土魔法は一般的なモノよりは優れていると思います。土と言いながら、土中のモノ…植物ですから、それを操るという面では」
ですが。とニノはすぐさまそれを否定するような物言いを見せた。
「ニノの体質に大きな問題がありますから。ニノは、魔力の回復が大変に遅いのです」
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