星の砂

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 赤い太陽が高くなった頃、時々注文を受けながらも、エクトルとリヤはそれぞれ、ある客に捕まり話をしていた時だった。  薄汚れたローブを目深に被ったひとりが入って来る。  間違いなく、リルレの町民でない雰囲気を醸し出すその者へ、何より目をひくものがあった。  旅人であろうその者は、剣を持っていた。  これまでやってくる旅人の大半は魔法使いで、それ以外でもせいぜい小型な程度の武器しか揃えない者が多かった。  今回の旅人は、間違いなく武器としての剣。  エクトルも含め、店内全員がその者に目を向けている。  その状況は流石に違和感が過ぎたのか、旅人は視界の邪魔にならない程度にフードをあげ、辺りを見回した。ちらりと青空の色が印象的な瞳がのぞく。 「邪魔だったか」  声主は女性だとわかった。 「いえ、旅人さんは珍しいモノで…いらっしゃい」  リヤが思い出したように、歓迎の意を示す。エクトルも慌てて「いらっしゃい」と加えた。  旅人がフードを下ろす。隠れていた、長旅のあとなのか少しだけ不潔そうではあるものの、銀色だとわかる髪があらわになった。
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