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六尺近い長身の大久保であるが、大隈の身長はそれを上回る。
小柄な伊藤などは、大久保から感じられる威圧感に辟易としがちであったが、大隈はそれをものともしなかった。
大久保は、大隈の自分を見下ろすような視線にイラついた様子を見せた。
「回りくどい言い方をしおって!言いたいことがあるなら、はっきりと言え!」
大隈は、への字型の口元に嫌味な笑みを浮かべた。
「へえ、言ってほしかったんですか。言ってもいいんですね。だったら、遠慮なく言わせてもらいますよ。彼だって、最終的に死罪となることくらい覚悟していただろう!だが、罪人にも言い分はある。それを聞いたうえで、裁きを言い渡す、旧時代でさえやっていたことをあなたはあえてやらなかった!道理も、情けもない人だよ、あなたは!」
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