罪も憎まず人も憎まず

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 江藤の死から四年後。  西南戦争で、大久保の同郷の友、西郷隆盛が敗死した。 「武士らしい立派な最期だったと聞きましたよ。かつての同郷の友に自裁させ、首を曝しものにしないだけの情けがあなたにもまだ残っていたとはね」  自分を見下ろしながら吐き捨てるように言った大隈の痛烈な嫌味に、大久保は返す言葉さえなかった。  その大久保もまた、西郷の死から半年後、暴漢に襲われ、命を落とした。  
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