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「これをどう見る?」
大隈の同郷の友、江藤の首を無惨に晒した写真を前に、世間話をするかのように大久保は大隈に語りかけてきた。
大隈の脳裏には、江藤の妻千代の大隈を詰る姿が焼き付いて離れない。
「大隈さんは酷い人です!何故、うちの人を助けてくれなかったのですか!」
大隈は、何も言えなかった。何もできなかったのだから。
「ろくな裁判もせず、即処刑したうえ、曝した首を写真にまで取って公開するなど。とても、欧米列強と肩を並べて法を整備し、文明開化を推し進めようとしている者のすることではないですよ。我が国にとって大きな損失となるだけでなく、後世にまで残る汚点となることは間違いないでしょうね」
大隈は、こみ上げてくる怒りに堪え、何とか冷静さを保ちながら答えた。
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