カッパのビキニさん

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カッパのビキニさん

 雨の日、家の前に河童がいた。河童の女性だ。胸がありビキニ姿で皿がある。落ち武者スタイルだ。背中には甲羅を背負っている。 「私がきれいだからってジロジロ見ないでよ。たしかに私はおっぱいいっぱい大きいけど」  強気だこの河童。落ち武者ビキニで強気だ。 「名前はなんですか?」 「ビキニ」  わぁ。すごい名前。ビキニさんが顔を近づけてキスをする。 「キスしたら結婚しないといけないんだよ。またね」  ビキニさんは消えた。雨が降るとビキニさんを見たり感じるようになった。しっかり探せば目が合う。お寺に相談したが専門外と言われた。役に立たたねえ。川でビキニさんを見た。最近覚えた般若心経を唱える。 「ユウ君凄いね」  ビキニさんは浅い川なのに沈んでいった。名前なんで知っているんだろう?やばくない?膝までの川に沈んでいけるの?ってか効かないじゃん般若心経。  誕生日に郵便受に手紙が入っていた。中にはビキニさんの写真が入っている。写真に大事にしてねと書いてある。捨てようと思ったがビキニさんが見ている可能性を考えて止めた。窓を見るとビキニさんと目があった。ビキニさんがじろりと見る。あぶねえ。  ある日家の前にきゅうりが置いてあった。袋いっぱいのきゅうりだ。盗んだのかと思ったら値札がついている。お金持ってるのね。払ったよね盗んでないよね。しょうがないので浅漬けにして食べた。ひたすらきゅうりを食べていると語尾がカッパになりそうだカッパ。  轢かれたカッパ。車に轢かれた。轢かれた時に体が宙に浮いた記憶がある。その後は病院だ。どうもかなり厳しいらしい。様々な声が聞こえる。そして物音がしなくなった。ベッドにビキニさんが来た気がする。ビキニさんを感じる。 「助けてあげる」  ビキニさんが左手を右手で掴み、左手を引きちぎる。左手から流れる血を俺の全身にかける。ビキニさんはどこかへ行ってしまった。  夢を見た。小学生の時亀を助けた思い出だ。あぁあの時の亀か。甲羅つけてるもんね。光を感じる朝になるのかな。 「うわぁぁ」  看護師さんは血だらけの俺を見て叫ぶ。 「ごめんなさい驚かせて」  体を起こす。 「うわぁぁ」  看護師さんがまた叫ぶ。俺はそれから元気になり退院した。俺が川に行くと、ビキニさんがいた。ビキニさんが笑顔で俺に右手をふる。満面の笑顔だ。口が大きいから口裂け女って感じだ。ビキニさんの方に走っていく。 「あの時の亀なんだね。ありがとうビキニさん」 「は?亀じゃないわ」  ビキニさんが俺の手を掴む。怖くなり抵抗するが力が強い。ビキニさんが笑う。体がゆっくりと川に沈んでいく。
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