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第十五話:新技開眼
オノゴロ壱根流の竹刀での素振りでガタガタになった昇。
「我々も同行します、男の友情も大事ですが妻の事もお忘れなく!」
「剣なら拙者が手取り足取りするでござる!」
「青ちゃんは抜け駆けするから不安パオ」
「ウキウキじゃないですよ、それは?」
「俺が不安になって来たよ」
昇は戦隊の仲間も連れて、剣術の補習を受ける事となった。
「昇よ、貴様もか?」
「どうも、カイル様の正ヒロインのエミリーです」
「ヒロイン二号のアンナよって誰が、二号よ!」
「姉さん、一人ボケツッコミは空しいですよ」
金髪ツインテールのアンナと、銀髪ショートのエミリー。
カイルは苦い顔で、二人の美少女を両脇に伴っていた。
「カイルも中々の女難だね♪」
コジュウロウは一人だった。
昇達が道場に揃うと、道着姿の夕陽先生がやって来た。
「皆さん揃いましたね、剣術の補習を行います」
全員が正座して神棚に、次にお互いにと礼をする。
礼は大事である。
そして、例の特殊な竹刀を用いた地獄の素振り。
素振りが終わると、先生が昇を見て告げる。
「天照寺君も慣れてきたようですね、では一手技をプレゼントです」
「え、どんな技なんですか?」
昇は先生の技に興味を覚えた。
「行きますよ、まずは剣で雨雲を生み出します」
夕陽先生は、竹刀を上段に上げて先をグルグル回す。
すると、先生の頭上に小さく黒い雨雲が発生した。
「いや、俺そんな能力ないですよ!」
昇が先生に叫ぶ。
「まあまあ、ツッコミは不要です。 見ていて下さい♪」
夕陽先生は微笑むと、雨雲から雷が竹刀に落ち竹刀が帯電する。
「これがオノゴロ壱根流の初伝、雷電の型です♪」
「おっす、やって見ます!」
先生に何か言うと藪蛇な気がした昇。
「昇殿、昇殿は拙者の加護で風雨や雷も使えますぞ!」
青玉が泣き顔で昇に近づき訴えてきた。
「え、加護ってソーラのしか使えないんだけど?」
昇が脳内検索をすると、ゲーム画面のように加護一覧と言うのが浮かぶ。
「ソーラ殿! 狡いでござる! 昇殿のロックを解除するでござる!」
「ソーラ? それはひどいパオよ?」
「ウキウキじゃないですね」
「仕方ありませんね、昇様の為にロックを解除します」
ソーラが掌を昇へと向け、金色の光を浴びせる。
「あ、何か加護の項目が増えたな。 これなら行ける気がする」
「行けるでござる、もう天地を砕くほどの雷が出せるでござる♪」
「いや、そこまでは今はいいって! でも、ありがとうな」
「推しの為でござる♪」
青玉を信じて、自分も同じように上段で竹刀の先を回す。
すると、昇も雨雲を生み出し竹刀に雷属性を纏わせる事が出来た。
「よっし、出来たぜ♪」
「はい、よくできました♪」
喜ぶ昇、拍手する夕陽先生やカイル達。
「これって、昇君は僕達の力も剣技にできるパオ?」
「ウキウキです、ナパティさんなら大地の剣で私なら風の剣です♪」
「私の加護で炎と光です」
「拙者で水、地水火風に光と五属性でござるな♪」
「なるほど、属性を変えられて戦えるのか」
仲間達の言葉を聞いて納得した昇。
「他の方が言うように、属性を変えられるのは魔法剣術の特徴の一つです。 先生とオノゴロ流は雷属性特化ですが、手数が増えれば可能性は広がります」
夕陽先生が講釈を述べる。
「なるほど、ならば複数の属性を剣に纏わせる事も可能だな」
カイルが竹刀に闇と雷の二属性を付与して見せた。
「カイルは流石ね、私は付与できるのはまだ風だけなのに!」
カイルの右隣ではアンナが中段構えの姿勢で、竹刀に風を纏わせる。
「私もまだ冷気だけです」
姉であるアンナのさらに右隣で、エミリーは竹刀に冷気を纏わせていた。
「皆、魔法剣術の呑み込みが早いな♪」
道場の隅で見物していたコジュウロウ。
彼は先生と同じく、竹刀に雷を纏わせながら呟く。
「では皆さん、次は竹刀に属性を纏わせたままの素振りです♪」
夕陽先生が笑顔で昇達に素振りを命じた。
素振りは卒業かと思っていた昇は愕然とした。
「剣と魔力を同時に鍛える鍛錬です、素振りは一生ですよ♪」
「「はいっ!」」
昇達は先生に従い、真面目に素振りを行った。
翌日、昇達は基地の作戦室で新型装備を触っていた。
「剣術を活かすべく、お揃いの剣を作って見ました♪」
ソーラが自慢げに見せるのは玩具っぽいガジェット。
黒いグリップにヒマワリの花弁型の金の鍔、白い刀身の直刀。
「グッズ販売でも考えてる?」
「人気が出たら限定生産したい所存です、このソーラカリバーを♪」
昇の問いの答えるソーラ。
「ソーラ殿の商売っ気はともかく、拙者や昇殿は二刀流ができますな♪」
青玉がソーラカリバーを持ちロマンを語る。
「皆で合体剣技とかできるパオね♪」
「戦いの前に全員で剣を合わせるポーズとか、ウキウキです♪」
「ナパティとモモの言うように、刀剣はロマン装備だよな♪」
「古来より剣は、神具にして王権の象徴ですから我らにピッタリです♪」
仲間達と円卓を囲む中で力説するソーラ。
「じゃあ、取り敢えず使って見ようぜ♪」
昇はソーラカリバーが気に入った。
「で、結局昇君の心の迷いはどうなったパオ?」
「そうでござる! 昇殿のメンタルが心配でござるよ!」
「汗を流してウキウキな感じはしますが、大丈夫ですか?」
「癒しなら私が!」
昇の方へ顔を向ける仲間達。
「今は平気、だけど迷っても剣は振るう!」
迷いや悩みは尽きないけれど、悪と戦う事は止めはしない。
「なので、これからも俺の面倒を宜しく頼む! 女神様達!」
昇は仲間達に向かって合掌して祈り願う。
昇の体から虹色の光が放たれ、ソーラ達に吸い込まれる。
「はうっ! この祈りと願いの気持ち、最高パオ!」
ナパティが頭部を象に変えて鼻を上げる。
「天にも登る心地良さですぞ~♪」
青玉も人化が解けて龍になり天井を舞う。
「ウキウキのエナジーが染みわたります♪」
モモも、ピンク色の猿に姿が変わりはしゃぎ出す。
「はい、その願い聞き届けました♪」
ソーラは、頭部に大輪の向日葵の花を咲かせて喜んだ。
新たな武器、新たな技に目覚めた昇。
ならばテストだと昇達は変身し、全員で岩山へと向かった。
晴れた日曜の朝の岩山に、敵はいないが五色の戦士が集う。
「お馴染みの殺風景な岩山、ここなら怒られないな♪」
「はい、ソーラレンジャーは環境に配慮したヒーローですから♪」
レッドとゴールドが漫才を行う。
「いざ、ソーラカリバーの試験運用ですな♪」
ブルーがソーラカリバーを召喚する。
「パオパオ♪ 合体技パオ♪」
「ウキウキで敵を倒せそうです♪」
テンションが上がるグリーンとピンク。
まずは全員で横一列に並び、武器に属性をエンチャント。
「行くぜ、レッドの火!」
「ブルーの水でござる!」
「グリーンは大地パオ!」
「ピンクは風です♪」
「ゴールドの光よ♪」
刀身をスーツの色の光で包む戦士達。
呼吸を合わせて、同時に武器を振り上げて下ろせば五色の光の斬撃が飛ぶ。
斬撃は空中で重なり、五色の光の玉となり岩にぶつかり岩を砕く。
「よし、まずは合体技は成功だ♪ 皆、合わせてくれてありがとうな♪」
仲間達に礼を言うレッド。
「合わせ技は、突き出して線状に放出するなどもできそうでござるな」
ブルーがパターンの派生案を出す。
「バズーカの時みたいに、センターを変えて属性の変化も付けるパオ♪」
グリーンもアイデアを出す。
「んじゃあ、技の名前はひとまずカリバーバーストでどうかな?」
「レッドが言うなら、私達に依存はありません」
「そうでござる、実戦で決めて見せたいでござる♪」
「本番で決める為に練習するパオ♪」
「頑張りましょう♪」
新技、カリバーバーストの訓練に励むソーラレンジャーであった。
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