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第十八話:マオウジャー登場
昇達ソーラレンジャーがブラッディナイトを倒してから数日後。
学園の教室にて昇は机にダレていた。
「ふう、次はどんな色の幹部が来るやらだな」
教室で昇は溜息を吐いた。
「紫に赤、虹の色でしょうか?」
ソーラが法則性じみた物を見出す。
「だとしたら最低七人の幹部がいるパオね」
「分散されて悪事を働かれたら、厄介でござるな」
「我々もウキウキな追加戦士や味方が必要です」
ナパティ、青玉、モモも意見を述べる。
「確かに、個人のスーパーパワーだけではどうにもならないよな」
超人一人でどうにかするのは無理だ。
超人達が繋がり力を合わせて事を為す必要がある。
「お前は変わった男だな、昇よ?」
「ああ、カイル。 いや、世の中さ人と力を合わせて行かねえと駄目だよ」
昇は自分に近づいて来たカイルに告げる。
「確かに、一人ではつまらんしな。 俺も共感できる」
「カイル、俺達に力を貸してくれるか興味がわいた時とかで良いから」
「相手の自主性に任せて良いのか?」
「強制とか支配は悪の組織のやる事だよ、俺には頼むしかできない」
「とんでもない対価を求められたらどうする?」
「その時は、こっちの出せる対価で納得してもらうように交渉だ」
カイルとやり取りをする昇。
「そこもお前らしい、そして好ましいな友よ♪」
「俺は神様から力を貰っても根っ子は、凡人だよ」
男同士で拳を突き合わせる。
「放課後の予定は空いているか、少々校庭で遊ぼう♪」
「良いぜ、友達から逃げるとかはしたくない」
「その意気や良し♪」
「そう言うわけで、放課後は先に戻っててくれるかな?」
昇はナパティ達に告げる。
「男の子だから、仕方ないパオ♪ 晩御飯はカレーパオ♪」
「バナナを所望します」
「拙者、良き妻でござるから♪」
「お迎えに上がりますのでご安心を♪」
ナパティ達戦隊メンバーは昇の言葉を承諾する。
そして時は流れ放課後の校庭。
「人払いはしてある、安心して遊ぼう♪」
「ああ、全力全開で行くぜ!」
昇は校庭の真ん中でカイルと向き合う。
「ソーラチェンジ!」
「マオウチェンジ♪」
お互いに変身ブレスを胸の前に掲げて変身。
「日輪の勇者、ソーラレッド!」
「白き魔王、マオウジャー♪」
赤の戦士と白の戦士が同時に動く。
レッドが拳を振るえばマオウジャーも当てに行く。
拳同士がぶつかり合い、互いが炎と闇に包まれた。
「武器も使わんとは、どういうつもりだ?」
「自分の気持ちは、自分の手でぶつけて伝える!」
「なら俺の気持ちも伝わるのか?」
「来いよ親友!」
レッドは全身を輝かせ、拳を振るう。
真っすぐ、陽射しが射抜くように突く。
マオウジャーも仮面の下で微笑みながら拳を振るう。
双方避けない、馬鹿みたいに吹っ飛び立ち上がり突っ込む。
「拳に想いを! 魂を届ける!」
「ならばこちらも返そう!」
レッドの輝く拳と、魔王ジャーの毒々しい紫の拳が唸る。
爆発や衝撃波に火花。
あらゆるものを互いに飛び散らせながら殴り合う。
どちらも必殺技や武器があるのに、ただただ殴り合う。
前に、前に、互いに相手を見て進み拳を振るう。
変身が解けても、変わらず殴り合う。
怨みも怒りも憎しみもない、愛と友情だけの殴り合い。
「馬鹿者が」
「馬鹿で良い」
昇とカイルは、双方同時に倒れる。
「ここは保健室か?」
「そうだな」
同時に保健室のベッドの上で目覚めた昇達。
「一緒のベッドじゃなくて良かった」
「こちらは構わんぞ、親友であろう♪」
「またの機会でな」
「現地は取らせてもらった♪」
笑い合う昇とカイル。
激しい殴り合いをしたはずなのに無傷だった。
「カイル、お前何で無傷なんだ?」
「お前の魂を奉げられて心地良かっただけだ」
「気持ちは届いたのか?」
「ああ、俺に対する友情がな」
「まあ、怨みとか憎しみはないしな」
「お前の魂の温かみは心地良かったぞ♪」
「いや、そう言う笑顔は女に見せるもんだろ?」
「ふむ、いっそ女になるのも良いかもな」
「そっちのヒロイン達に怒られるから止めとけ?」
カイルと語り合う中、昇の瞳にメッセージが映った。
特別加護【魔王の友愛】が付与されました。
邪神・混沌・狂気・悪夢・邪悪・暗黒・魔族への耐性が付与されました。
闇属性覚醒、闇魔法、暗黒武術、魔族武装、魔界適応が付与されました。
様々なメッセージが浮かび、昇は新たな力を得た事を実感した。
「ちょ、魔王の友愛ってなんだ?」
「ほう、そちらも届いたか♪」
「お返しって奴か? 俺はただ殴っただけなんだが?」
「勇者の友情やら神性適応などが得られた、楽しかったぞ♪」
「ま、こういうのも友情か」
互いにぶつかり合いでスキル交換とか、ゲームみたいだな。
「では友よ先に帰るぞ、また明日な♪」
カイルは窓から出て行った。
「あの野郎、本当に自由人だな」
昇も保健室を出て下校する。
「昇く~~~~ん!」
「昇様、お怪我は?」
「昇殿、ご無事でござるか貞操は?」
「昇さんがいないとウキウキじゃないです!」
校門雨にソーラ達が待っており、四方から昇に抱き着いた。
「皆ありがとう、迎えに来てくれて♪」
「昇様、魂からあの男の気配が漂ってます!」
「うん、色々あってさ。 浄化とかはしなくて良いから」
「業腹ですが、敵に対抗する為のワクチンだと思いましょう」
ソーラが美しい顔に苦みを浮かべて納得する。
「それじゃあ皆で帰るパオ♪」
「うむ、皆でカレーを戴くでござる」
「昇様には、私達にも構っていただきましょう」
「そうです、昇さん成分をウキウキと補給します」
「わかったよ、皆ありがとう♪」
仲間達に囲まれながら基地へと帰還した昇。
マオウジャーとなったカイルと殴り合った事を話す。
「昇殿を一人にさせるのが不安になったでござる」
「同感です、ウキウキじゃないですよ!」
青玉とモモが真っ当な事を言い出す。
「二人共、昇君にストレスを与えるのは駄目パオ!」
「心配なのはわかりますが、必要な事です」
ナパティとソーラは昇に寄り添う姿勢。
「心配かけたのはごめん、けど俺について来てくれ」
「当然でござる、永遠に離れないでござる」
「右に同じです」
「同意パオ」
「何処までも一緒です、私達は戦隊であり家族なのですから♪」
昇の言葉にソーラ達が作戦室の円卓に座る仲間達が同意する。
翌日の放課後、昇はカイルと再度校庭で向き合っていた。
今回は互いのヒロイン達も観戦の上での対戦である。
「ソーラブレード!」
「マオウカリバー」
真紅の大太刀と漆黒の長剣、互いに変身して獲物を構える。
突進からの鍔迫り合い、からのマオージャーの無数の突き。
ソーラレッドも斬撃のラッシュをぶつけて対抗する。
両者譲らずから、距離を取り共に家にエネルギーを集める。
「混沌の牙を受けよ、カオスレクイエム!」
「日輪の炎で全てを斬る、烈火両断っ!」
毒々しい紫のエネルギーが大地から牙の如く突き上がり波のように迫る。
レッドは、大上段に構えた大太刀から火柱を上げて振り下ろす。
火柱の鉄槌が、地面から生えたエネルギーの牙を打ち砕く。
レッドが技を相殺した時、マオージャーは眼前に迫っていた。
突き立てた刃の先のレッドは炎となって姿を消す。
「炎で作った分身だ!」
「味な真似する♪」
マオージャーの背後から現れたレッドの斬撃を刃で受けるマオージャー。
「うう、あのように仲良さげに剣を交えるとは!」
「私達といるよりも楽しそうにしてるカイルがムカつく!」
青玉とアンナが同時に嫉妬し憤慨する。
「男の友情ですか、わかりませんね」
「男には友情も必要なのですよ」
エミリーは理解できないと呟く。
ソーラは正妻の余裕と言わんばかりの笑顔。
拳と剣で、戦隊の戦士として親睦を深める昇とカイル。
マオウジャーと言う新たな味方を得たソーラレンジャーであった。
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