第十九話:マオウカイザーのテスト依頼

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第十九話:マオウカイザーのテスト依頼

 カイルの作った戦隊、マオウジャー。  メンバーはカイルとエミリーとアンナの三人。  ソーラレンジャーに頼もしい味方が出来た。  「しかし、次はどんな色の騎士型の幹部が出て来るのか?」  ソーラレンジャーの基地にある会議室で昇が呟く。  「味方もできたけど、敵も怪しいパオ? 昇君、ラッシーをどうぞパオ♪」  ナパティが片隅のドリンクサーバーからラッシーを入れて昇に手渡す。  「皆で頑張ればウキウキですよ。もきゅもきゅ♪」  昇の反対側の席ではモモがバナナを食べながら語る。  「モモ殿、バナナ好きでござるな?」  モモの隣で戦隊のブルーこと青玉が呆れる。  四人は寛ぎながら今後の事に想いを馳せていた。  そんな時、奥の自動ドアが開きソーラが会議室へと入って来た。  「皆さん、お疲れ様です♪ それでは、本日の会議を始めましょう」  ソーラが開会を宣言する。  「まずはドリンクを配るパオ~♪」  ナパティが仲間達の分もラッシーを用意して配り席に着く。  「ありがとうございます、ではこちらをご覧下さい♪」  ソーラが指を鳴らせば、円卓の中心からデジタルスクリーンが浮かぶ。  「カレー店の成績は安定してますが、新メニューも考えましょう」  ソーラが見せたのは資金稼ぎの一つであるカレー店の売り上げ。  「それなら夏野菜カレーを提案するパオ、試作品はすぐ作れるパオ♪」  ナパティが笑顔で提案する、カレーの担当は彼女だからだ。  「動画配信も大事ですよ、私達の戦隊を宣伝して行かないと」  モモが次の動画について意見を述べる。  「いや、資金稼ぎも大事でござるが戦いも大事でござるよ!」  青玉がツッコミを入れる。  「まあ、どれも大事だから片付けて行こう」  昇が場を宥めると仲間達は頷いた。  「カレーについては夏野菜カレーで行きましょう」  「ゴーヤとかトマトでも入れるのか?」  ソーラの言葉に昇が問いかける。  「桃とバナナの杏仁シェイクも作りましょう♪」  モモがアイデアを出す。  「拙者は、ブルーソーダなどの炭酸系ドリンク門みたいでござる」  青玉も意見を出して来た。  「飲み物もデザートも売り出すパオ、資金は大事パオ♪」    ナパティが乗る気になった。  資金稼ぎの話から今後の戦いについての議題に変わる。  「実は、カイルさんから相談がありました」  ソーラが重々しい口調で斬り出す。  「いや、俺達のロボと模擬戦したいって話だろ?」  昇がソーラにツッコむ。  「あんまり旨味がなさそうです~!」  モモは不満げだった。  「拙者達、システムパクられたでござるよ?」  青玉もまだ恨んでいた。  「きちんと報酬が出る案件なら受けるパオ」  ナパティも嫌そうだった。  「うん、皆気分がよくないけど俺の為に力を貸してくれないか?」  昇が仲間達に頼んでみる。  「昇様の為ですし、報酬も税金で持って行かれても困らない額です」  ソーラが苦々しく口にする。  「受けるしかないですね、ウキウキじゃないですけど」  モモはため息交じりに承諾する。  「税金にはヒーローも勝てませぬからなあ、やむなしです」  青玉も受け入れた。  「チーム運営の為には受けるしかないパオ」  ナパティも納得する。  「うん、神様も税金からは逃げられないよな皆ありがとう」  昇は仲間達に礼を言った。  数日後。  昇達ソーラレンジャーの面々は、指定された平原を訪れていた。  「家のメカと一緒に来たが、何か結界とか貼られているな?」  昇が周囲を見回して魔法によるバリヤーが張られている事を確認する。  「来たか友よ、嬉しいぞ♪」  カイルが昇達の前に現れて豪快に笑う。  「あんた達、付き合いが良いわね?」  カイルの右隣りでアンナがげんなりした顔で告げる。  「戦隊の皆さん、宜しくお願いします」  カイルの左隣でエミリーがキチンと一礼をする。  「ああ、宜しくお願いします」  昇がカイル達に一礼をすれば仲間達も礼をする。  「前回はスーツを着てぶつかり合ったが、今回はロボだ♪」  カイルが笑いながら拳を握る。  「カイル、ロボの面白さが分かってくれるのは嬉しいぜ♪」  昇も拳を握る、ロボでバトルは男のロマンだ。  「親友とロボで遊べる日が来るとは、早速見せよう♪」  カイルが変身ブレスレットを起動しマオウジャーに変身する。  「カイル、本乙に楽しそうね?」  アンナは呆れ顔をしながら変身。  「楽しそうなカイル様、素敵です♪」  エミリーは喜びの笑顔で変身した。  マオウジャー側はカイルと同じくスーツの色は白がベースらしい。  「出でよ、我が愛機マオウカイザー!」  マオウジャーに変身したカイルが右手を天に突き上げて叫ぶ。  空に暗雲が渦巻き雷鳴が轟き、稲妻と共に黒き巨人が降臨する。  それはスーパーロボット。  蝙蝠の兜に蜘蛛の胴体とダークヒーロー的な風貌のロボだ。  「俺達もソーラチェンジして合体だ!」  昇が仲間達に向けて叫ぶ。  レッドに変身して、ソーラホルスに搭乗。  「昇様の精神衛生と報酬の為に参りましょう」  ソーラがゴールドに変身し、スフィンクスに乗り込む。  「昇さんがウキウキなおは良い事です♪」  モモは笑顔で呟くと変身してソーラエイプに乗り込んだ。  「ふ、我らが勝っても良いのだな♪」  青玉はニヤリと笑って変身しソーラドラゴンに乗り込んだ。  「一丁、胸を貸してやるパオ♪」  ナパティもやる気を出してグリーンに変身してエレファントに乗り込む。  ソーラレンジャーに変身して、各自のマシンを合体させる五人。  五色のロボ、ソーラカイザーも完成した。  東のソーラカイザーと西のマオウカイザー、両者見合う。  『行くぞ友よ、カイザーネット!』  マオウカイザーからマオウジャーの声が響く。  同時にマオウカイザーの胴の蜘蛛の頭が口を開けて糸を吐く。  「俺達の選択は、真っ向から受ける!」  ソーラレッドに変身した昇が宣言する。  「私達のロボの耐久力、見せて差し上げます」  ソーラゴールドが鼻息を荒く叫ぶ。  「受けた上で返せばいいのです♪」  ソーラブルーも頷く。  「今日はプロレスの如く受けて返してやるパオ!」  ソーラグリーンは闘志を燃やしていた。  「追撃が来ます、衝撃に備えて下さい!」  ソーラピンクが叫ぶと同時に、機体を衝撃が襲う。  ソーラカイザーに絡みついたネットが爆発したのだ。  『ほう、受けきるか♪ そうでなくてはつまらん♪』  マオウジャーが喜びの声を漏らす。  「お前には真っ向勝負で勝ちたい、カイザービーム!」  レッドの操作によりソーラカイザーの胴体から金色の光線が放たれる。  マオウカイザーも回避はせず、光に包まれるが装甲が少し焦げた程度。  両者同時に、機体が輝き損傷が回復する。  「敵もやりますね、うちのパクリですから納得ですが」    ゴールドが苦々しく呟く。  「良いロボット作ってくれてありがとう、ゴールド♪」  レッドがゴールドに礼を言うと、ゴールドの頭に向日葵の花が咲く。  「ゴールド殿狡いでござる!」  ブルーが不満を漏らす。  「僕達にもデレが欲しいパオ~?」  「ウキウキになりたいです~!」  グリーンとピンクもレッドを見る。  「ブルーにグリーンにピンク、ありがとう♪」  心から仲間達に礼を言うレッド。  仲間達のテンションが上がる。  ソーラカイザーの全身から金色の光が噴き出した。  『ほう、あちらはブーストしたか♪』  マオウジャーが呟く。  『感情で力が上がるんでしょうか?』  マオウジャーの左隣の席でエミリーが呟く。  『同じ事、私達もできるんでしょ?』  右隣のアンナもカイルことマオウジャーに尋ねる。  『当然だ、二人共俺に力を与えてくれ』  マオウジャーの言葉にアンナ達が呟く。  マオウカイザーも機体から黒いエネルギーを噴き出す。  「行くぜ皆、カイザーパンチだ!」  ソーラレッドが叫びレバーを操る。  『つくづく殴り合いが好きだな、良いだろう♪』  マオウジャーも喜びながら機体を突進させる。  ソーラカイザーとマオウカイザー、双方突進し拳を繰り出す。  そして、クロスカウンターで双方が吹き飛び転倒する。  大昔の少年漫画の友情の殴り合いシーンを巨大ロボで演じた二人。  一息入れたら次は武器だと、ロボバトルに明け暮れたのであった。
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