第二十一話:海辺の巨大戦

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第二十一話:海辺の巨大戦

 海水浴場のゴミ拾いと言う、報酬が安く地味な仕事を受けて海の町ミナト市を訪れたソーラレンジャー。  ひと仕事を終えたタイミングで、突如海から出現した鮫の怪人軍団と遭遇する。  市民を守るべく交戦状態に入るも、事件の裏にはデストピアンの影がある事にまだ彼らは気がついていなかった。  「シャ~クック! くたばれい!」  鮫怪人の鉈によるラッシュ。 ソーラレッドは冷静に自身の刀で敵の攻撃を受け流していた。  「サンライトビーム!」  「ギャッ!」  敵の攻撃を受けて耐えしのぎつつ、マスクの額にある向日葵の飾りからビーム攻撃を行うレッド。  敵にとって不意討ちとなったビーム攻撃は鮫怪人の額を射抜きその命の動きを止めた。  「フィニッシュだ!」  レッドが刀で鮫怪人の首を斬り飛ばした。  仲間達も戦闘を終えていた。  「レッド殿、状況終了でござるよ♪」  ブルーがレッドに手を振る。  「市民にも海の家にも、被害は出てないパオ♪」  グリーンが辺りを見回して被害の有無を調べてから告げる。  「突発的な事件でしたが、良い宣伝になりましたね♪」  「災い転じて福となすです♪」  ゴールドとピンクがハイタッチで喜ぶ。  「取り敢えず警察軍を呼んでもらおう、怪人退治の賞金は警察軍のチェックがいるから」  レッドが告げる。 オノゴロでは、勇者等のヒーロー業は戦闘をしたら司法に届け出しないとお金がもらえないのだ。  ゴミ拾いの報酬の海の家の割引券だけでは正直割に合わないので、ここはきちんと届け出る。  報酬は貰える所からきちんと貰うのがソーラレンジャーの主義であった。  やってきた警察軍の捜査官や鑑識官と挨拶を交わす。  「ご苦労様です、賞金首リストの照会が出ました!」  黒スーツ姿の捜査官の青年がタブレットで検索して述べる。  「あ、ありがとうございます恐縮です♪」  レッドも緊張して敬礼する。  オノゴロ含むこの世界では、魔物や怪人などの事件では勇者が上位の権限を持つ。 とは聞かされてはいたが、まだ司法への対応に馴れていないレッドであった。  「では、賞金はお幾らほどでしょうか?」  レッドに代わりゴールドが、怪人達の討伐で貰える賞金について尋ねる。  「は、はい! こいつは生け捕りですと五百万ゴロンの賞金首なのですが、処刑済みなので十分の一の五十万ゴロンに税など諸々天引きで二十五万ゴロンとなります」  ゴールドの圧に押された捜査官が金額を絶叫した。  「に、二十五万ですか! ぐぬぬ!」  「ほらほら、貰えるんだから♪」  大幅な減額をされて憤慨するゴールドをレッドが宥めた。  「オノゴロ政府の減額システム、ちょっとウキウキじゃないですね?」  「仕方ないパオ、いつものカレー屋稼業と動画配信で稼ぐパオ」  離れた所で、不満げなピンクをグリーンが宥める。  「まあまあ、我らの腕前を宣伝できたと思えば良いではござらんか♪ 今後のオファーに期待でござるよ皆の衆♪」  ブルーは海を見ながら前向きに笑った。  「はい、皆集合して? ちょっと相談があるんだ?」  レッドが仲間達に声を掛ければ、瞬時に彼女達は距離を詰めて来た。  「どうしたパオ? やっぱり報酬が不満パオ?」  グリーンが不安げに尋ねる。  「私達はレッドさんの活躍が見れてウキウキですが、レッドさんの事だから報酬よりも事件の裏とかでは?」  ピンクが意見を述べる。  「ふむ、奴らは何者かにここへ誘導されたとお考えですかな?」  ブルーもピンクに同調した事を言う。  「レッド様、もしや事件の陰にデストピアンがいると?」  ゴールドが最後に言う。  「うん、そんな気がするんだけど警察軍の人に話して見る?」  レッドが警察軍に話そうかと仲間内だけに語りかける。  「止めた方が良いパオ、面倒パオ」  グリーンが反対。  「レッドさんの言葉でもそれは無しです」  ピンクも反対。  「確証がござらぬ故に、我らだけで動くべきですな」  ブルーも反対する。  「ここは皆に同意です、下手に巻き込んで被害を出すのも可哀想ですから」  ゴールドが告げる。  「わかった、じゃあ俺達で今回の事件の事を独自に調べよう」  レッドは仲間達の言葉に同意した。  「ソーラレンジャーの皆さん、討伐ご苦労様でした♪」  捜査官はレッド達に告げると、鑑識官達と話を始めた。  その日の仕事を終えたレッド達は、基地へと帰還した。  突発の鮫怪人退治の報告書を書かねばならなかったのと、事件の裏側の調査をどうするか相談する為である。  「やはり、あの海岸を見張るのが宜しいかと」  会議室の円卓で顔を合わせて話し合う中、青玉が手を上げて述べる。  「ゴミ拾いの仕事は明日もありますしね」  モモがそう言いながら同意する。  「今度は、ソーラカイザーも使えるように用意して行こう」  昇が仲間達に告げる。  「もしや、巨大戦闘の可能性があると言う事でしょうか?」  ソーラが昇に尋ねる。  「まあ、生身で様子を見てから巨大戦力を投入は常套手段パオ」  ナパティが昇の意見を肯定しながら答える。  「では、明日は巨大戦に備えて依頼に臨みましょう」  ソーラが決断する。  「ありがとう、海岸の治安を守る為に頑張ろう」  昇が仲間達に微笑みかける。  「昇さんと海の家でかき氷を食べる為ですから♪」  モモが欲望を漏らす。  「世の為人の為、拙者達の楽しみの為でござるよ♪」  青玉が笑う。  「海岸でカレーの屋台を開くために恩を売っておくパオ♪」  ナパティは商売の為だと言う。  「昇様とのひと夏の思い出作りの為にです♪」  ソーラも煩悩まみれだった。  「いや、俺も皆と遊びたいから頑張るよ♪」  昇は照れながら答えると、ソーラ達のやる気がアップした。  次の日も、様々な種族が昼間から海水浴を謳歌する中。  昇達ソーラレンジャーは、変身した姿でゴミ拾い活動をしながら周囲をセンサーを駆使して索敵をしていた。  「ぐぬぬ、海よりも我が湖の方がくつろげるでござる!」  田舎の山の湖の龍神であったブルーは海にコンプレックスがあった。  「そうだね、また行こう♪」  ブルーを宥めるレッド。  「ほらほら、平和の為に働くパオ!」  グリーンがブルーにツッコむと同時にサイレンが鳴り響いた。  同時に奥の方の沖合で海中から巨大な黄色い亀型ロボットが出現した。  「出たな、ソーラカイザーで行くぜ!」   レッドが叫べば仲間達が応じる。  空からソーラレンジャーのマシンが飛んでくれば各自が跳躍して乗り込む。  「合体、ソーラカイザー!」  空中で五体のメカが合体し一つの巨大ロボになる。  地上では人々が叫びながら撮影などをする。  『ソーラレンジャーです、これより戦闘開始となりますので避難をお願いいたします』  ゴールドがスピーカーで外部に向けて警告する。  海水浴客達はライフセーバーの指示に従い避難を始めた。  「うむ、敵よりも我らの方に脅威を抱かれた気が?」  「僕らも怒ると怖いパオ、さっさと逃げて貰った方が楽パオ」  「悪いロボットをやっつけてウキウキタイムです♪」  「さあ皆様、参りましょう♪」  「おっしゃ、行くぜ!」  夏の空を駆けるソーラカイザー。  海上にいる敵ロボットに向けて、まずは胸からビーム攻撃を放つ。  『甘いぞ、シェルフィールド!』  敵の亀ロボットから女の声が発せられると同時に、敵の機体をを六角形の 光のバリヤーが展開する。  ソーラカイザーのビームはバリヤーを貫通するも減衰させられる。  「小癪な、ダメージ減少とはやりますね!」  ゴールドがぐぬぬと唸る。  「ドンマイパオ、カイザー隕石キックパオ!」  「バリヤーをぶち割ってやりましょう!」  「レッド殿、エンチャントをお願い申す!」  「オッケー、ブルー♪ ファイヤーエンチャント!」  レッドがレバーを操作しスイッチを入れれば、ソーラカイザーの全身が炎に包まれる。  炎の属性を纏わせて、隕石の如き威力の蹴りを落としにかかる。  『それは直撃は不味いな、海中へと引きずり込ませて貰う!』  黄色いロボットの主、トパーズナイトが叫び急速潜航を始めた。  ソーラカイザーはそのまま落下して敵を追い海中へと潜てて行く。  「こっちにも龍神様のブルーがいるんだ、負けないぜ!」  「ふお! レッド殿の期待が拙者に、お任せくだされ~♪」  ブルーのテンションが上がると、ソーラカイザーのカラーリングが青一色に変わる。  「今日はブルーに見せ場をあげるパオ」  グリーンが苦笑しつつ呟く。  「ブルーさんは専門家ですから、良い所を見せて貰いましょう」  ピンクは後方プロデューサー気分だった。  「レッド様も頑張って下さいね♪」  ゴールドはレッドを応援する。  「ああ、ブル―の力が生んだ新武器カイザートライデントで決めるぜ!」  巨大な青い三叉槍を手にしたソーラカイザー、海底を舞台に移してトパーズナイトのロボットと相対する。  敵であるトパーズナイトのロボットも人型に変形していた。  敵の武装は巨大なシールドクロ―の二刀流。  『我が名はトパーズナイト、いざ勝負!』  「ソーラレンジャー、ソーラカイザーで決めるぜ!」  二体の巨大ロボが突進し、ぶつかり合う。  響く衝撃、両者一歩も引かない。  三叉槍とシールドクロ―の鍔迫り合いから、双方の武器の打ち合い。  『ミサイルを喰らえ、ソーラカイザー!』  「なめるな、カイザーサンダーボルト!」  武器の打ち合いから再度距離を取り、敵はミサイル。  ソーラカイザー側は対抗して機体から稲妻を放つ。  襲い来るミサイルを稲妻が粉砕し煙が上がる。  「止めだ、レインボードリル!」  ソーラカイザーの三叉槍に虹色の光が集まりドリルの如く回転する。  『いかん、あの光は不味いな撤退するか』  巨大な虹色の光のドリルが迫る中、トパーズナイトは機体からテレポートで脱出した。  そうとは知らぬソーラカイザー側は、敵ロボットを新技で撃破した勝利に喜んだのであった。
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