第二十二話:ひと夏のリターンマッチ

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第二十二話:ひと夏のリターンマッチ

 「謎のロボット撃破を祝って、いただきます♪」  海の家の個室を貸し切り、昇が乾杯の音頭を取る。  コーラを手に取り皆で乾杯だ。  「ふ~~~~♪ 酒とは違う美味さでござる♪」  昇の右隣で青玉がコーラを煽り荒く息を吐き出す。  「今回は青玉さんが功労者ですからね」  昇の左隣ではソーラが呟く。  「次は僕が功労賞を取るパオ♪」  ナパティが気合を入れる。  「私も負けません!」  モモも闘志を燃やす。  ヒーロースーツ姿から、各自の戦隊カラーのジャケットに白スラックスとユニフォーム姿で宴席を囲むソーラレンジャー。  「鮫の賞金の振り込まれたし、宴会パオ~~~♪」  ナパティはコーラでテンションが上がっていた。  「海の家の焼きそばとかお刺身とか限定メニューでウキウキです♪」  モモもはしゃぐ。  「ここのお店は、お好み焼きはセルフですか? やりましょう♪」  ソーラが運ばれたお好み焼きの種を鉄板に敷き、額の飾りからのビームで焼きヘラを巧みに操りひっくり返して完成させて切りわける。  「いや、ソーラがヘラをヌンチャクのように振るってたtな?」  昇はカンフー映画みたいな動きに驚いた。  「まあ、考えす感じましょうぞ♪ ソーラ殿、お見事でござる♪」  青玉の言う通りだなと昇は同調した。  「むむ、ソーラもやるパオね?」  「ノリノリで楽しそうです♪」  ナパティとモモはソーラのヘラさばきに感心した。  かくして、昇達は宴で疲れを癒したのであった。  一方、デストピアンの城の酒場では。  「よう、残念だったな♪」  バーテン姿のブラッディナイトが現れたトパーズナイトに微笑む。  「してやられたよ、今回はね」  席に着くと、同僚に出された酒を兜を被ったまま飲み干すトパーズナイト。  「良いねえ、あの坊やも成長しているみたいで楽しみだ♪」  ブラッディナイトが猫のように笑う。  「ご機嫌なのは機体でも直ったのか?」  呆れた声で尋ねるトパーズナイト。  「その通りさ、私の愛機と坊やのロボの熱いバトルがまたできる♪」  「そんなにあのレッドの少年が好きになったのか?」  「ああ、勿論だとも♪ 存分に愛し合いたいね♪」  トパーズナイトに呆れられながら、ブラッディナイトは大げさに語る。  「そういうわけだから、トパーズは一休みしてな♪」  ブラッディナイトが微笑む。  「納得はしていないが、そうさせてもらうさ」  不満そうに呟くトパーズナイト。  「他の色の奴らに邪魔されない内に決めて見せるぜ♪」  ブラッディナイトは獣の如く笑った。  自分を狙う者がいるとは知らず。  昇は仲間達と縄張りであるイワヤマ湖に来ていた。  「ふう、海も良いけど山も良いな♪」  夏の湖畔でバーベキュー、ホラー映画の導入で見た光景。  「ウキウキに焼きますよ♪」  ピンク色のカンフー着姿のモモがコンロの上の肉を焼く。  「皆~♪ スイカが良い感じに冷えてるパオ~♪」  緑色の道着にハーフパンツと、古式ムエタイルックのナパティが湖からスイカを引き上げる。  「飲み物も良い感じに冷えてますぞ♪」  青い着流し姿の青玉も、湖から飲料の瓶を引き上げる。  「トウモロコシもありますよ♪」  ソーラはザルに山盛りのトウモロコシを持って異空間から現れた。  「トウモロコシ、焼いたの醤油で食いたい♪」  昇はトウモロコシに目を輝かせる。  「美味しそうですね、ウキウキです♪」  いくつか肉を焼き終えたモモが、テンションを上げる。  英気を養うべく、皆で楽しいレクリエーションだと言う時。  「むむっ! 山の方に邪悪な気配が!」  ソーラが異変を感知する。  「空に黒いシミが広がったパオ!」  ナパティが空を見上げて叫ぶ。  「おのれ、デストピアン許すまじ!」  青玉が怒りを燃やす。  「ウキウキの邪魔は許しません!」  モモも怒りを爆発させる。  「皆、ソーラチェンジだ! ソーラカイザーで迎え撃つ!」  昇が叫び、皆で変身。  デストピアンが開いた異次元のゲートの下へとソーラカイザーで突進。  ゲートから降り立った真紅の騎士型巨大ロボットと相まみえる。  『ヒャッハ~~♪ 久しぶりだね坊や、お姉さんと愛し合おう♪』  前回よりも装甲が強化されたロボから声が響く。  「出たなデストピアン! 今度こそお前を成仏させる!」  「バーベキュータイムの邪魔をした罪、万死に値します!」  ソーラカイザー内部で、レッドに続きゴールドfが叫ぶ。  「拙者達の楽しみが邪魔されただけなのが幸いでござるな」  ブルーが呟く。  「世の人達の楽しみや命が脅かされるよりは、マシパオね」  グリーンも同意する。  「ウキウキなお楽しみは、ちょっと先延ばしです!」  ピンクが叫ぶ。  『さあ、楽しい頃試合の始まりだ~っ!』  敵の新メカ、ブラッディファランクス。  赤き重騎士が虚空から騎士槍を取り出して襲い来る!  「行くぜ、ソーラカイザーグリーンフォーム!」  レッドの叫びでソーラカイザーが閃光を放ち、敵の動きが止まる。  全身が緑色になったソーラカイザー。  左手には緑色の象の頭の盾、右手には白い骨のような巨大こん棒を装備。  『ほ~う、ワイルドな坊やも大好きだよ!』  ブラッディファランクスの槍による突撃。  ソーラカイザーは盾を構えると、象の鼻から竜巻が引き荒れた!  「ふんす~~~っ! ブレストルネードパオ!」  グリーンも鼻息が荒くなる。  「おっしゃ、ワイルドに叩くぜ♪ ボーンモールスマッシュ!」  レッドが叫びレバー操作をすれば、ソーラカイザーがこん棒をフルスイングでブラッディファランクスを殴り飛ばす!  『は♪ 逞しい坊やは好きだよ♪』  ド派手に転がるも立ち上がり喜びの声を上げるブラッディファランクス。  「むむ、レッド殿への変態度も執着度も強化されてるでござるな!」  ブルーが自分を棚に上げて呟く。  「レッド君は僕達のパオ! 断じて渡さないパオ!」  普段は温厚なグリーンが荒ぶる。  「グリーの言う通りです、断固拒否します!」  ゴールドも怒る。  「レッドさんのお嫁さんは私達です、ムキ~~ッ!」  ピンクも野猿の如く荒ぶる。  「悪いがお前らの所なんか行く気はねえ!」  狙われているレッド本人も怒りを燃やす。  チームの気持ちが一つになった時、ソーラカイザーから唸り声が上がる。  大地が揺れ、巨大な象牙が生えて来てブラッディファランクスを貫く。  『ぐはっ! 何だこれは? 坊や達の技か?』  機体の両足を大地に縫い付けられて焦るブラッディナイト。  「そうだ、今度こそ冥府の裁きを受けろ! 必殺、エレファントプレッシャー!」  ソーラカイザーが空に飛び上がり巨大な緑色の炎の象と化して落下する。  落下と共に大爆発が起こり、今度はブラッディナイトも逃げ出せず消滅したのであった。  「ふう、決まったぜ♪」  「やったパオ~♪」  「これで敵幹部の完全撃破は二人目でござる♪」  「大勝利ですよ皆さん♪」  「ウキウキの宴会の再開です~♪」  着ないで勝利を喜ぶソーラレンジャー達。  再び湖へと戻り勝利の宴を開く。  「かんぱ~~い♪」  瓶のサイダーで乾杯する昇達。  「今回は僕がMVPパオ~~~♪」  ナパティが叫べべあ仲間達が拍手を送る。  ソーラカイザーグリーンフォームの力はナパティの力を借りた物。  異論はなかった。  「次は私のピンクフォームでやっつけますよ♪」  モモは意気込みながら焼きトウモロコシを食べる。  「拙者も負けおれんでござる!」  青玉も闘志を燃やす。  「ふっふふ、私のゴールドフォームもお楽しみに♪」  ソーラは含み笑い。  「昇君、あ~んパオ~♪」  「はい、カレーソースの串焼きあ~ん♪」  昇がナパティに串焼きを食べさせるなど彼女を労う。  ソーラレンジャー達はト発敵に起きた、ブラッディナイトとのリターンマッチを新たな力で勝利した。  デストピアンの幹部の騎士達は後五人。  ソーラレンジャー達の夏の戦いは続く。
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