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第四話:ブルーは龍?
「さて、ここが龍が住む湖か? 綺麗で大きいな♪」
「はい、湖畔でお弁当などいただきましょうか♪」
昇とソーラは学校が休みの日曜に、オノゴロ列島国にある自分達の縄張りを見て回ろうととある湖を訪れていた。
湖の近くに鳥居があり湖龍神社と書かれている。
畔は花畑で風が気持ち良く、ピクニックにいい場所だ。
「確かにここでピクニックとか良いな♪ 遠足とかを思い出すぜ♪」
「龍神が住んでいるとか、挨拶はしておきましょう」
「鳥居のすぐそばに祠があるな、お賽銭っと♪」
昇が左手のブレスを出して、右掌の上で振ると小銭が出て来る。
「五百ゴロンで、ご縁がありますように♪」
「私も、仁義は大事ですので仕方なく」
昇とソーラが祠に設置された賽銭箱に通貨を入れ、二礼二柏一礼で祈る。
二人が祈ると同時に湖面が波立ち、天が雷雲に覆われる。
「その求婚、承りましたぞ~~~~っ♪」
「出、出た~~っ!」
「出ましたね、戦いましょう!」
湖から巨大な青い龍が、しぶきを上げて顔を出して来た。
「どわ~~っ!」
「昇様っ!」
波で流された昇は草むらを転がり木にぶつかる。
ソーラは昇に駆け寄り起こす。
「むむっ! 貴様はこの近所の太陽神か? 手土産に夫をくれるとは♪」
「何を言いますか、昇様は私の勇者と書いて夫です!」
「昇殿、何と良い名に良いお顔♪ 我が夫に相応しい♪」
「話を聞いてませんね、やはり戦うしか!」
昇を狙う龍神に敵愾心を抱くソーラ。
「いててて、畜生! こうなりゃ、ソーラチェンジだ!」
意識が戻った昇は変身すると跳躍する。
「おお♪ 戦装束姿も、凛々しいっ!」
「ライジングサンアッパー!」
ソーラレッドに変身した昇が燃える拳でアッパーカットを龍に叩き込む。
「へぼっ! ひ、ひっ! か、勘弁をっ!」
「龍ならデカイかば焼きで行けるな、サンライトハープーン」
ソーラレッドが、右手に日光を集めて光の銛を作る。
「レッド、ストップです! この龍は敵ではありません!」
「……はあ? いきなり出てきて人の事ふっ飛ばしてか?」
取り敢えず必殺技の発動をキャンセルするレッド。
「ひとまず変身解除で降りて来て下さいませ!」
「わかった」
ソーラに言われてレッドが地上に降りて変身を解く。
同時に青い龍も、ボワンとピンク色の毛塗りを上げて人の姿になる。
「……へ? こいつ雌だったのかソーラ? 龍は卵も食えるんだっけ?」
「ひ、ひい! 拙者は食い物ではござらんし、今初恋を知ったばかりの胸の大きな良い乙女でござるよ!」
人間に化けた龍は、本人の言う通り長く青い髪の胸の大きな美女であった。
青い着物に袴と言う服装になり、昇に抱き着く龍。
「拙者、たった今昇殿に身も心もテイムされ申した♪ 永劫に宜しくお願いするでござる♪」
「いや、身に覚えがねえって? って、何で頭の上にヒロインとか表示されてるんだよ!」
「昇殿が祠に祈った時、拙者と絆が結ばれたでござる♪」
「……えっと、ソーラさんどういう事?」
昇は訳が分からずソーラに尋ねた。
「昇様は、人よりも神や魔物に好かれやすい性質なのです」
「いや、初耳なんですけど?」
人間の女子にモテた事はないのに、ここで女難かよと落ち込む昇。
「まあ、戦隊を作るには昇様を好んでくれる者が良いと思うので受け入れましょう第一夫人は私ですが!」
「拙者は二番目でも、一向にかまわんでござる♪」
「いや、良いのかそれ?」
「神との婚姻は法的に複数でもOKです、ぐぬぬ!」
「合法でござるよ、安心して下され旦那様♪」
「……何だろう、永遠に断れないコマンドが見えたよ」
「拙者とは良縁でござる、ささ契約を♪」
「わかった、契約方法は?」
ソーラが認めたので、龍を受け入れる事にした昇。
「では、お手を拝借♪ ふ、ふおおおおおっ♪」
「いや、いきなり手を握って? いや、頭に情報が!」
昇の頭の中に龍に関する情報が流れ込んで来て龍の主やら湖の主などの
単語が直に刻まれる。
「……なんかここ、俺の縄張りみたいになったっぽい」
「我が主にして夫ですから当然でござる♪」
「つまり、私の縄張りでもあるんですね♪ 湖の龍神よ、汝も今から我が眷属です♪」
「神としてはソーラ殿が格上、致し方あるまい承知仕った」
「では、あなたにもソーラブレスを授けましょう♪」
「メンバーが増えたな宜しく、青玉♪」
「はい、では今日より人の名は天照寺青玉と名乗らせていただきます♪」
「いや、何でうちの名字さ?」
「拙者、嫁入りした身でござるので♪」
「いや、色々と気が早いわ!」
「そうですよ青玉さん、私の方が先です!」
「ソーラ殿には出遅れ申したが、拙者も旦那様の心を掴んで見せまする♪」
「何だろう、俺の女難はまだ続くのかな?」
かくして、昇は女難からの縁で青玉が仲間となった。
「じゃあ、この神社はこれからどうしようか?」
「我が勇者でもある昇殿の領土、お好きにどうぞ♪」
「では、こちらに私の神殿の出張所を建てましょう♪」
「……うう、何か悔しいでござる!」
「何か、支店が出来たみたいだな」
取り敢えず、諸々の後始末は気にしなくて良いらしかった。
数日後、基地の作戦室で語り合う昇達。
「ここが基地でござるか、良い所でござるな♪」
「下積み時代に稼いだ神ポイントを、注ぎ込みましたから♪」
「何か、スフィンクスの反対側に青い龍型メカがあったな?」
「拙者の担当機体でござる♪ 水中戦や海戦はお任せあれ♪」
「それも神ポイント?」
「左様、昇殿の為に注ぎ込み申した♪」
「うん、二人に報いる事ができるように頑張るよ」
ちょっと怖いが、彼女達を大事にして行こうと思った。
「そう言えば、ロボはあるって聞いたけれど俺は担当のロボは無いの?」
昇が切り替えた話題はロボについて。
ヒーロースーツだけでなく、巨大ロボも充実させたい。
「現在開発中です、鳥型ロボですよ♪」
「拙者の機体も合体できます故に、お楽しみあれ♪」
「予定としては、私達のロボを三体と五体合体にしたい所です」
「わかった、二人とも巨大な敵にロボで挑む時は宜しく♪」
「ふむ、連携や合体の訓練をいたしませぬか?」
青玉が昇達に提案する。
「そうですね、ではこれから始めましょう♪」
ソーラが青玉の提案を受け入れる。
「おっし、気合い入れて頑張るぜ♪」
昇も気合を入れた。
基地の外へと出た三人は変身する。
「で、俺はどっちに乗れば良いんだ?」
「ここはソーラ殿の機体に、拙者との相乗りは次の機会で♪」
「青玉さんのご厚意を受けましょう」
「同じ推しの同担仲間で妻姉妹でござるからな、恩を売っておくのが得策でござる♪」
「推されてる身としては複雑なんだが、当人の前で言うのはどうなんだ?」
「拙者、愛は隠さぬ女子でござる♪」
「わかった、じゃあまずはスフィンクスに乗るぜ」
レッドとゴールドは金色のライオン型ロボであるソーラスフィンクスに向かえばスフィンクスが咢を開いて二人を受け入る。
ブルーは一人で空高くジャンプし、青い龍型メカのソーラドラゴンに頭部から乗り込んだ。
スフィンクスのコックピットの中
そこは、天井に小さい金のピラミッドが浮かぶ広間であった。
二人が入ると、室内がピラミッドの中と王宮の玉座の間がまじりあう様な黄金の景色になる。
天井の小型ピラミッドから光が放たれ、左右横並びに玉座風のシートが形成される。
レッドとゴールドがシートに座れば、二人の前に再度天井のピラミッドから光が照射されてレバー付きの操作台が形成された。
「良くわからない仕掛けだが、操縦できるんだな?」
「はい、レバー操作で行きましょう♪」
二人の目の前にスクリーンが展開し、外の様子が見える。
レッドがレバー二本を前に倒して、機体をダッシュさせる。
「レッド殿達、合体を所望するでござる!」
室内にスクリーンが浮かび、ブルーが通信して来た。
「仕方ないですね。 レッド様、レバーを同時に内側へ♪」
「よし来た、合体っ!」
レッドがレバーを内側に倒せば機体が跳躍し、前半身と後半身が分離。
ブルーのドラゴンも、首と胴体が分離しドラゴンの胴体部が折れ曲がり
合体後の足腰に変形する。
スフィンクスの後半身が左右に開いて分離。
胴体となった前半身へ合体し、両肩と両腕になる。
ドラゴンの頭部が口を開けばツインアイの人の面が現れて、ヘッドパーツとなりスフィンクスと合体。
最後に青い下半身と合体すれば、現時点での合体は完成。
青い龍の兜を被り、金色の獅子頭の胴と青い下半身を持つ巨大ロボットが誕生した。
「レッド殿、参上仕りました♪」
コックピット内にはブルーが現れ、レッドを真ん中に挟む両手に花コックピットとなる。
「ひとまず、現状はこれで完成か?」
「拙者のドラゴンが足腰、体の要でござるな♪」
「これで、俺の機体が出来たら三体合体か?」
「仲間が増えたら五体合体でござるな♪」
コックピット内で語らう三人、仲間集めもロボも出だしは良かった。
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