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第五話:グリーンは象の神
「日本の田舎に似てるな、この国の田舎の村」
「ここは、地球の並行世界とでも言うべきユニバースですからね」
「うむ、拙者も逆に地球の日本がオノゴロと同じで驚き申した♪」
「まあ、転生や転移して来た人達が暮らしやすそうな世界だな」
昇とソーラと青玉の三人は、朝方からソーラによるテレポートの魔法で彼女の管轄の一つである田舎の村に来ていた。
地球人の昇からすれば、遠くには山が連なり電柱とかが並んでる光景は旅番組で見る田舎の景色と同じであった。
太陽神のソーラがいる為か、空は快晴で昇は気持ちが良かった。
縄張りの見回りは大事な仕事、住民への挨拶も欠かせない。
「で、このノボリとスピーカーで宣伝するのも仕事だな?」
「はい、草の根運動です♪」
「地盤固めはしっかりとですな♪」
「まあ、ご当地ヒーローとしてデビューするんだから仕方ないか」
昇達の服装は、首から下はヒーロースーツと言う素顔の戦士達であった。
「ヒマワリ村の皆様、村の鎮守のソーラ神殿でございます~♪」
ソーラがスピーカーを使い周囲に語りかける。
畑仕事していた農家のおじさんおばさん、散歩中のご老人などが昇達を見て何だ何だと言う顔をする。
「この度、ソーラ神殿は勇者チームとして変身勇者隊ソーラレンジャーを結成いたしました~♪ 村と皆様の平和の為に女神である私自身も戦います♪」
ソーラが次に昇にマイクを渡す。
「ソーラレッドこと天照寺昇です、地球から通って来てます! 学生もやりつつ勇者も頑張るので、応援よろしくお願いいたします!」
昇の言葉に近隣住民が拍手する。
「兄ちゃん、頑張れよ~♪」
「あれまあ、若いのにきちんと挨拶できて偉い子だね~♪」
「地域活性化になるかのう?」
等と住民達の声と拍手が上がる中、昇が青玉にマイクを渡す。
「拙者はイワヤマ村の龍神、青玉♪ 生まれは違えどもソーラレンジャーのブルーとしてこの村の為にも働き申す♪」
青玉が名乗ると、住民達のが顔の前に青い光で出来たスクリーンを顕現っさせてステータスを見る。
スマホで撮影する感覚で、ステータスチェックしてる人々の姿は魔法なのだろうが何だかサイバーパンクっぽくもあった。
「あんれま、本当に龍神様だ~?」
「あの兄ちゃん、女神様二人に見初められてって大変だな」
昇が強化された聴覚で村人達の声を聴く。
神や英雄が闊歩するこの世界では、ソーラや青玉のようなマイナーゴッドはちょっと珍しいタレント位な感覚らしかった。
メジャーやエルダーな神様は、あまりこういう田舎には来ないと後でソーラから聞かされるのは別の話。
昇達が農民達の前で挨拶をした時、昇の視界に拡張現実で人助けセンサー感知ありと文字が現れ標的を自動追尾するように場所を伝える。
「……ああ、腰が痛たたたたっ!」
「おい、婆さんや? ひとまず休め!」
「早速困り事だな、助けに行きま~す! 畑に入らせてくださ~い!」
「わかった~っ! 婆さんを助けてくれ~っ!」
昇が許可を取り、ソーラ達も畑を荒らさないように全員で宙に浮いて移動して降り立つ。
「お腰ですね、サンヒール♪」
「水分も必要でござるな、アクアヒールも使うでござる♪」
ソーラと青玉が回復魔法で老婆を治療する。
「よし、俺は収穫作業を手伝うぜ元は農業高校生だ♪」
「ああ、お願いします赤い勇者様!」
昇は老人から話を聞き、畑の収穫作業を超人的な速度とパワーで行った。
「ふう、女神様達ありがとうございました♪ ついでにお祖父さんもお願いします」
「ええ、お安い御用です♪」
「お任せあれ♪」
「ば、婆さんが若返って筋肉ムキムキに!」
ソーラと青玉の力で、回復どころか二十代位にまで若返り世紀末の覇者の如くマッチョになった元老婆に驚くお祖父さん。
そんなお爺さんにも、ソーラ達から金色の光と青い光が注がれてこちらも若返りマッチョになった。
「ふおおおっ! 力が漲る、女神様も勇者様もありがとうございます♪」
「いや、変化し過ぎだろ? ステータス見るぜ失礼、お爺さん達が何か神の使徒ってなってる」
昇が元老夫婦のステータスを見ると、神の使徒や超進化などのべらぼうな事が書かれていた。
「皆の衆~~っ! ソーラレンジャーの皆さんを崇めろ~~っ♪」
「若返らせてくれますよ~~~っ!」
元老夫婦、現マッチョ農民夫婦が叫ぶと老人達が我も我もと集まって来る。
「これでは面倒ですね、一気に行きますよ?」
「心得た、大盤振る舞いでござる♪」
「いや、お前らやり過ぎにならねえか?」
「勇者として神として、民に慈悲と地域に加護を与えませんと♪」
「信者の強化も神の仕事でござる♪」
ソーラと青玉が空へと舞い上がり、光のシャワーを周囲の土地と人々に対して降らせる。
光を浴びた人々は、突然変異と言わんばかりに周囲のじっちゃんばっちゃんが二十代位にまで若返りマッチョな姿へと変化した。
ソーラレンジャーの初仕事は、農村の強化改造となった。
昇達は村人達から大いに感謝された。
村を歩いて回り、住人達や土地に神の加護を振りまいて回る一行。
自転車に乗り黒い軍服を着た、警察軍の人間らしい青年がやって来ると青年は自転車から降りて昇達に敬礼する。
「勇者の皆様、ご苦労様です!」
「あ、どうもそちらこそ」
「そちらも見回りご苦労さまです」
「ご苦労さまでござる♪」
「それでは、自分は失礼いたします」
神や勇者は軍や警察よりも上位に相当する。
こちらの警察の巡査を見送りながら、学校で習った通りの対応をされて若干驚く昇。
地球でもヒーローは上位の権限が与えらえてはいたが、現場の兵や警官からは疎まれていたのとは大違いだった。
「何と言うか、官憲の邪魔が入らなそうなのはありがたいな」
「ヤツガミ校長がやらかしてくれたおかげですね、英雄には逆らうながこちらの官憲の鉄則らしいです」
「噂によると、とてつもない現人神らしいですからなあ」
校長に感謝しつつ、見回りを行う昇達。
「ソーラ、オノゴロって野生の象はいるの?」
「おりませんねえ、他の大陸ならおりますが」
「象の行倒れでござろうか?」
三人の行く手には緑色の肌をした小さい子供の象が倒れていた。
「見捨てるわけにはいかねえ、行くぜ!」
「はい、お供します!」
「流石は我が推しメン♪」
昇達は象に駆け寄る。
「ソーラ、力を貸してくれ! サンヒール!」
「勿論です♪」
「拙者も加勢いたす、アクアヒール」
今度は昇がソーラから力を借りて回復魔法を像へとかける。
青玉も一緒に回復魔法を掛ければ、象が目を覚まして起き上がった。
「うおっ! 一気に元気になったな♪」
「昇様、この象のステータスを確認しました女神です!」
「むむっ、昇殿お下がりくだされっ!」
「パオーン♪ 君が僕の運命の人パオ~♪」
象が煙を上げて変化する。
緑のロングヘアーに、褐色肌でがっしり体型の美少女だった。
服装は手足に白のバンテージ、緑のタンクトップとボクシングパンツだ。
「こっちもステータス見たからわかったパオ♪ 僕もソーラさんの神族に加わるパオ♪」
「いや、話が早過ぎるだろ?」
何か、ムエタイが出来そうな象の女神の登場に困惑する昇。
「仕方ありません、迎え入れましょう」
「ソーラ殿が認めるなら、致し方なしですな」
「いや、ソーラ達も決断早くないか?」
昇は反対しそうなソーラ達が受け入れた事に驚く。
「うんうん、宜しくパオ♪ こう見えても商売繁盛や厄除けの神様の家の子だからお役立ちするパオ♪ 僕の名前は、ナパティって言うパオ♪」
四人目の戦士としてナパティが、強引に仲間に加わった。
基地に戻った四人、ナパティから事情を聴く。
「うん、僕は象の神同士の間に生まれた二世の神パオ♪」
作戦室で手作りカレーを皆に振舞いながらナパティが語る。
アフリカっぽい大陸と、インドっぽい島の象の神様同士が結ばれて彼女は誕生したらしい。
「それで、神修行の旅に出た所で昇様の存在を感知したと?」
「うん、僕だけの勇者様にしたかったけどソーラさん達となら仲良くやれそうな気がしたから仲間に入れて貰ったパオ♪」
「ともあれ、これでグリーンが出来ましたな♪」
「カレーに胃袋を掴まれてしまった、仕方ねえ」
「男心は胃袋から、昇君は宜しくパオ~♪」
ナパティのカレーの美味さに負けた昇、残るメンバーはあと一人。
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