第六話:ピンクは猿

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第六話:ピンクは猿

 ナパティが加わり、4人になったソーラレンジャー。  彼女の加入により、神殿でカレーを売ると言う仕事が誕生した。  「はい、カレー弁当三つお待たせいたしました♪」  「おう、勇者の兄ちゃんありがとうよ千五百ゴロン♪」  ヒマワリ村にあるプレハブサイズのピラミッドから白衣姿の昇が出て来てビニール袋に入った弁当を、肉体労働者っぽいお客様に差し出し代金を受け取ると礼を言う。  昇も学校が終われば、戦隊活動の一環でカレー屋のシノギを手伝っていた。  最近では、昇は近隣住民や評判を聞いて来た客からカレーの勇者様とか言われ出した。  「ふう、色々あるがシノギは大事だよな?」  戦隊とは一体と思いつつも、活動の為にはコストを稼がねばならぬ。  「さて、後はソーラシアにいる本神殿のスタッフさんと交代かな?」  昇が左手首の変身ブレスを見て呟く、時計機能で十八時と確認。  ピラミッドへと入る、中はカウンターやレジがあり弁当屋に似ていた。  黒い犬の仮面を被り白衣を着たスタッフの一人に、弁当の代金を渡せばレジに入金処理してくれた。  「それじゃあ、お先に本部に上がります♪」  「お疲れ様でした~♪」  スタッフに挨拶をすれば、可愛らしい声で返事が来る  昇が事務室とプレートが付いたドアを開けて中に入ると、彼の服装が白衣から赤いパーカーにカーゴパンツの私服に自動で変わり世界も晴れた青空が広がるエジプト風世界に変わる。  「昇君、お帰りパオ~♪」  神殿の方から飛んで来た金色の船が昇の前へと降り立つ。  甲板に乗っていたのはナパティ、美少女から象へと頭部を変化させて長い鼻で昇を絡め取り船の上に乗せると船が再び空に浮かび上がる。  「作戦室に、皆揃ってるパオ~♪」  「俺が最後か、ありがとうナパティ♪」  「どういたしまして、飛ばすパオ~♪」  「いや、俺が船室に入ってからにして~~~っ!」  昇が安全確保の為に転がりながら船室へと入ると同時に船が加速。  ガチャンと激しい金属音が鳴り響いた所で声がかかった。  「着いたパオ~♪」  「いや、いきなり飛ばすなよ!」  「拙速を尊ぶパオ♪」  ピラミッド風の金の壁、ロボットアニメのカタパルトと地下鉄のホーム。  いつの間にか神殿内にこんな場所が出来ていたのかと、昇は思いながら船からホームへと降りる。  日本の地下鉄のように案内板がホームにあり、作戦室や格納庫などへの行き方が記載されていた。  「ただいま~?」  「ただいまパオ~♪」  ナパティと同伴で作戦室へと入る昇。  「お帰りなさいませ~♪」  「昇殿~♪ お帰りなさいませ♪」  ソーラと青玉が満面の笑みで昇を出迎える。  「取り敢えず、日報書くか?」  「真面目でボケるパオね、昇君?」  「推しメンが冷たいでござる」  「流石は、私の勇者様♪」  「いや、一応職場だからなここ?」  「職場だからこそ、会話のキャッチボールが大事なのでござる!」  「そうだね、人間関係は大事だね」  「まあまあ、ラッシーでもどうぞパオ♪」  ナパティが部屋の隅のドリンクサーバーを操作して、人数分のマグカップにラッシーを入れて配って行く。  「かたじけない」  「ありがとうございます♪」  「ありがとう♪」  「どういたしましてパオ♪」  円卓に着いた四人、それぞれの出来事を報告する。  「イワヤマ村支部では、参拝客が増加したでござる♪」  「ヒマワリ村の方でもカレー弁当が売れて来てるな」  「やっぱり商売は大事パオ♪」  「ええ、いずれは戦隊カレーを縄張り以外でも売りに行く予定です」  と、商売の面の話から入る。  「戦隊としては、昇様の機体ソーラバードが完成しました♪」  「おお、三体合体ができるな♪」  「僕のソーラエレファントも合わせれば、四体合体パオ♪」  「映像を公開して注目度を上げましょう、湖畔で撮影ですね」  「映える画を取り申そう♪」  「ロボができるって事は、デカい敵との戦いも近いな震えるぜ」  円卓の中央が光り、ロボットのホログラフが浮かび上がる。  赤い鳥の頭、金の獅子の胴、青い龍の足腰、緑の象の左腕。  四つの獣型ロボが一つになり巨人となる。  「ソーラカイザーも五人目が来ればバランスが良くなるな♪」  「同担が増えるのは歯がゆいでござる、だが推しは分かち合わねば!」  「青玉さんの気もちはわかります」  「私も、昇君が好きになったからメンバー入りしたパオ♪」  「いや、ありがたいけど照れくさいよ!」  「デレを下されっ! 愛を下されっ!」  「女子との付き合い方が、まだまだわからねえんだよ!」  「昇様はそれで良いのです、他の女と付き合う事などないのですから」  ソーラの最後の言葉に頷く仲間達。  昇のラブコメは、肉食系な神々であった。  「うん、俺も皆と離れたくないからそれは受け入れる」  「ふおおおっ! デレが、推しのデレが来ましたぞ~っ!」  「こ、これはもう胸のときめきが止まりません! 録音しました!」  「パオ~~~~ン♪」  昇の言葉に狂喜乱舞する仲間達。  ソーラは頭にヒマワリの花冠状態に班を咲かせ、鼻血を出して倒れる。  青玉は、龍になり長崎の祭りの如く舞い踊る。  ナパティは、象化して前足ストンプ。  「いや、お前ら大人しくしろ!」  昇のツッコミは追い切れなかった。  「で、二人も学校へ行く事になったんだな?」  「アオハルでござる♪」   「青春パオ~♪」  青玉とナパティも加わり、昇の学生生活も変化が起きた。  昇の味方からの逃げ場が、また一つ潰れたともいう。  「おや、これは?」  「空から気配がしますな?」  「何か落ちてくるパオ!」  「良し、ソーラチェンジ!」  空から落下して来る生体反応をキャッチした一同。  昇が変身して跳躍し、落ちて来た物体を両手でキャッチ。  「……え、ピンクの猿? 赤ちゃんかな、可愛いな♪」  耳が桃に似た形をした猿を守りながら降りて来たレッド。  着地して変身を解除すると、抱きかかえていた猿から爆発的に煙が出る。  「げほっ!」  「昇殿っ!」  「パオ~ン!」  「皆様、戦闘の準備を!」  ナパティが鼻を象に変えて鼻息を発射し煙を晴らす。  煙が晴れると、ピンク髪の美少女をお姫様抱っこする昇の姿が。  「げげっ! 猿が女の子にっ!」  「恋敵出現、排除します!」  「拙者もお姫様だっこされたいでござる!」  「僕もされたいパオ~ッ!」  「いや、お前らちょっと待った!」  「お任せ下さい♪ ソーラチェンジ、とうっ!」  猿少女がくるりと回転し、ジャンプと共に変身する。  「ヘ、変身しただと!」  驚愕する昇、猿少女の変身後は自分達と同じスーツだった。  「もしやまたしても、パクられましたか!」  「いや、ソーラ殿のシステムはザルでござるな!」  「君は一体、何者パオ!」  「私も、昇さんの事が好きな皆さんのお仲間です!」  「いや、君は突然出て来て一体何言ってんのさっ!」  取り敢えず昇は、虚空からハリセンを出して猿少女の頭を叩いた。  取り敢えず学校には休みの連絡をして、猿少女を神殿へと連れて行く昇達。  怪しい人物を基地へ連れて行くのは考え物だが、怪しいからこそ対応できる 自分達の縄張りで調べた方が良いので連れて来た。  「それでは、お話をお伺いしましょうか?」  「これも昇殿の溢れる魅力でござろうか?」  「僕と似た感じがするパオ?」  「いや、何でだよ?」  作戦室で少女をバナナとラッシーでもてなしつつ話を聞く。  「はい、私は天界ネットで昇さんの存在を知り転校して来ました」  「いや、どういう行動力だよ?」  「ふむ、これはもはや運命でござるな♪」  「そうパオね、カレー屋さんも手伝ってパオ♪」  「それでは、あなたがピンク枠なのですね」  「はい、モモと言います♪」  「いや、何で受け入れてんのさ!」  仲間達のモモへの対応にツッコむ昇。  「いえ、彼女の気持ちはわかりますので」  「同担もやむなしでござる」  「昇君からは神を引き付けるオーラが出てるパオ♪」  「わけがわからないよ」  昇の理解の及ばぬ力が働いたのか?  新たな押しかけメンバーとして、モモが加わった。
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