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僕はもう後悔していた。
今夜も一人で来るべきだったかもしれない。
その後の展開を変に期待して、行きつけのダイニングバーに誘ったが、もう目の前の女には興味がなくなった。
事前に平気でタバコを吸う女とはキスもその先も遠慮したい。染みついたヤニの匂いで僕はすっかり萎えてしまう。
あと、無神経に気分の下がる余計な質問をする女も無理だ。
「どうして、その人と結婚しなかったの?」
隣り合わせで座る女が少し鼻につく香水を匂わせながら、眉を浮かせて僕に訊いた。
その指先には、もう三本目のタバコがある。
僕は思わず、顔をしかめそうになった。
「やはり若い女がいい?」
「そう一概には言えんよ。若さと浅はかさは紙一重だ。が、歳を重ねても、そういう若さだけを引きずっているのがいる」
「イタいね」
「知れば知るほど分からないことが増えていくものなのに、下手に歳を重ねただけで、そのよく知りもしないことで張り合おうとしている」
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