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さてさて、なんやかんやでひとつの危機を救ったアポロンさんなわけなんだけどさ。
結局、俺たちの世界……無くなっちゃうんだよね。
『消失病』ってのをクリアした俺たちではあるけど、やっぱり俺が見る未来の光景ってのは、文字通りの暗闇なわけ。
俺としちゃ、今回の件が〝滅びの未来〟だと期待して頑張ったんだけどさ。
なーんにもない。空も大地も海も、現在をつなげる〝未来〟なんて、なにも見えない。
ま、ちょっと残念。
でもさ、希望はあるよね。
だって……まだまだ〝滅びの未来〟への時間はあるってこった。
あと、一〇〇年くらいしか期限ないけど。
そんくらいしかないし、今回みたいな困難はあるんだろうけど、それでも……〝未来〟を変えられるチャンスはまだまだあるってことだろ?
たとえばそう……俺がアンタらの世界まで生き延びて、ハーレムをつくる楽しい未来にするとか、ね?
え? ダメ? そんなぁ。
ならさ、安心してくれよ。
そんな未来にするための〝力〟は今の俺にはない。知ってるよな。
俺はどこまでも予言者だ。
絶対不可避の現象としての未来は見えても……未来を変えるなんて出来たことは一度も無い。
あの死んだ『人間』の女の子は、どうあがいてもあの場で死ぬ運命だった。
あの子の〝死〟の運命を切り離す〝力〟は、俺にはない。
未来ってのは、絶対なんだ。
悲しいことに。
だけど。
だけどさ、俺は……そんな〝絶対〟ってやつをぶちのめして、二コラ・テスラみたいに現在を〝美しい未来〟へと繋げたい。
つまりな、俺は予言者だけど未来を変える革命家になりたいんだ。
たとえ、評価なんかされなくても、常人には理解されなくても、俺は俺のクソったれな〝予見〟ってやつを覆したい。
だから、タイムリミットがくるまで、あがき続けるさ。
仮にダメだとしても、まぁ……そうだな。
願うさ。
もし俺たちが滅んだとしても、きっとその先には……誰にも踊らされない〝美しい世界〟ができるようにってさ。
二コラ・テスラって偉大な人間が夢見たような、そういう世界をさ。
つまり、アンタらがいる世界さ。
少なくとも、俺たちのよりは……マシだろ? 終わりなんて決まってないんだから。だろ?
それじゃ、このあたりでアンタらとはバイバイするよ。
最後まで俺の〝独り言〟に付き合ってくれてありがとな。
そう、アンタらは俺と会話なんてできやしない。
俺が〝予見〟したイメージに、俺が勝手に話しかけてるだけなんだから。
だから勝手に話しかけたし、勝手にバイバイするよ。
最後に神様らしい文言を送ってね。
……あー、うん。
おっけー、決まった。
俺なんかと違って、偉大な発明をしたり、現在を未来に繋げ続ける偉大な『人間』たちが住まう世界よ。
君たちの〝存在〟に、陽光あれ。
(了)
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