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エピローグ:未来へつなげる者よ
俺は、オリュンポスを『消失病』から救った。
ヘリオスを殺した俺は、〝太陽神〟として一段上の存在となり、無事にオリュンポスに太陽を取り戻せた。
だけど、〝太陽〟が、俺たちの〝存在〟を証明してくれるなんて機能があるなんて初耳だった。
陽光を浴びなければ、俺たちは死ぬ。
そんな事実を知っているあのヘリオスってやつは……確かに俺より〝太陽神〟として格上だった。だって、俺たちに必要な太陽を見えなくしちまうんだぜ? すげぇよ、マジで。ゼウス様超えてる。
でも、結局コイツらはなんだったのか。
本当に俺たちの影だった? あるいは別の次元の侵略者だった?
結局その正体は、ゼウス様でもわからなかった。
だけど、俺だけは……理解できた。
これは、誰にも言ってないことだけど。ゼウス様にも。
ヘリオスやユピテルってのは、『ローマ神話』の神様なんだろ?
で、俺たちは『ギリシャ神話』の神様。だろ?
俺は、アンタらが生きてる未来を通して『ローマ神話』って存在を知った。そして、俺たちが生きた『ギリシャ神話』ってやつも。
アンタらの世界の大昔、『ローマ神話』ってのはまぁいわゆる〝オトナの都合〟ってやつで、『ギリシャ神話』に吸収、統合された。
もともと『ローマ神話』の神様のヘリオスだったが、吸収してくるアポロンって神様(つまり俺ね)に似てるとこあるからってんで、無理くりに俺と一緒くたにされちまった。
もちろん、他の神様も。もちろん、ゼウス様も。
俺たち『ギリシャ』が『ローマ』を吸い取ってひとつになったってことだ。
きっとゼウス様の前に現れた『ユピテル』ってやつも、『ローマ神話』のとんでもなく偉いヤツだったに違いない。
だからユピテルは、〝ゼウスに代わる者〟なんて言ったんだ。『ギリシャ神話』に吸収されつつある哀れな神話の代表としてな。
俺たちギリシャ側が〝吸収〟した……『ローマ神話』のそっくりさん。それがドッペルゲンガーの正体。
それが、俺たちの……〝影〟だった。
いや、むしろ……あいつらにとっちゃ俺たちこそが〝影〟だったのかもしれないな。お互いに、本物だった。
『ローマ神話』のヤツらがいつから俺たちの影になったのかは分からない。
もしかしたら俺たちが生まれた瞬間から、あいつらは俺らの〝影〟だったのかもしれないし、そこは俺も分からない。
だけど、確かにヘリオスは……生きてた。
〝生きたい〟って想いが強くて、『神』として永遠に存続できるって願望を強く抱いていた……かわいそうなヤツだった。
なんつーか、救われない物語だよね。
もしかしたら俺たち『ギリシャ神話』と『ローマ神話』の小競り合いは、どっかの根暗野郎が書いた物語で、俺たちはその根暗野郎の三文小説の登場人物に過ぎないのかもしれないけど。
あ、そうそう、物語といえばなんだが。
なんでアンタらの『神話』ってそんな古臭いファンタジーなん?
全知全能の『神』がたくさんいるんだぜ? それなりに文明発展してるに決まってんじゃん? なんで『神』のイメージって半裸に布まとってるような恰好なわけ? 冬とかめちゃくちゃ寒いんだけど?
あと、俺のこと『ストーカー』だの『クズ』だの伝わってるのってひどくない? でも、否定しきれない俺であった。悲しいね。
……まぁ、〝物語〟に文句言ってもしゃーねぇか。
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