第一話:光無き世界

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「きゃあああああーーーーーーー!!」「わああーーーー!?」  男の耳にまず入ったのは、人間の悲鳴であった。  だがそんなものはどうでもいい。  男の目は――空からこちらに向かって堕ちてくる車の群れを捉えていた。  まるで狙いすましたかのように、車の群れは〝弓〟を構える男へと落下してくる。  このままでは当然、男は圧し潰され、車の爆発で木っ端みじんになるだろう。  しかし男は逃げない。 〝弓〟を構えたまま、車の群れの中心部を目で見極め……、  ビュオッ!!  右手につがえた赤光を放つ。  その光は、目にとらえられない光の速さをもって一台の車を消し飛ばし、さらにその破壊的速度は、まわりの車を破壊しながら散り散りに吹き飛ばした。  ゴゴゴゴゴゴ……  都市がうなりをあげる。ビルが震える。  矢が放たれた際に生じた熱風は、周囲の人々をなぎ倒し、街灯をも風圧で押し倒す。  すさまじい衝撃であるが……それは単に、彼が光の矢を放ったことによって生じた、ただのそよ風に過ぎない。  矢が直撃し消し飛んだ車のように、分子すら残さず粉々になるよりは笑って許せる弊害であろう。    しかし……、 「……」  男は弓を下ろして、ゆっくりと肩越しに背後を見やる。  さきほど、自らが注視していた……『人間』の女がいた場所を。  そこに、女はいた。  明滅する街灯の光のなかに、まるでスポットライトを浴びるように――。  頭に鉄の破片が突き刺さった……死体として。  
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