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第二話 消失病
ふたりの『神』がぶつかり合う一週間前のこと。
世界から太陽が消え、世界が永劫の暗闇に包まれた。
原因は、分からない。
だが、世界に朝も昼もなく……永遠の夜が訪れたというのは確かなことだ。
太陽がないということは、月の光もない。
月光とは、太陽の光を反射した際の光である。
つまり太陽が消失した今、太陽無くして月の光もあり得ないのだ。
さらには。
その太陽の消失と同じくして、神と人が暗闇のなかに消える――そのような病気、あるいは怪異がまん延した。
『消失病』。
誰が呼んだかこの現象の発生時期は、ちょうど『オリュンポス』から〝太陽〟が消えた時期と一致していた。
だが……『オリュンポス』のとある『神』は、これを予期していた。
〝予見〟していたのは――アポロンであった。
予見していたのに、防げなかった。
いや、防ぎようがないというのはアポロン自身も、そして彼よりもっと上位の神――『ゼウス』も理解していた。
ゆえに、ゼウスは自らの宮殿にアポロンを呼び出し……このような話をした。
「アポロンよ、貴様……ドッペルゲンガーを信じているか?」
玉座に座る、背丈の高い筋骨隆々の絶対神はアポロンを睥睨しながら問うた。
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