ふたり

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ふたり

いつもの場所に格好で座っていた。 ただ違うのは…三味線でもなく愛用している煙管でもなくお猪口を持っている。 『ククッ…やっと近くで会えるなぁ。どんな顔をするか楽しみだ』 迷い、苦しんだが… 会うのは今日だけにする 今日会えば、もう二度と逢わない そう決めて会うことにした。 襖の外から声がかかり、短く返事をする。 そうすると、入ってくるのが分かる。 「あ…あの…わた…」 『てめぇか?俺を見つめていたのは?』 「へ?あ…あなた…もしかして」 『近くで見ると、思った以上に綺麗だな』 自分の口からそんな言葉が出てきたことに驚く。
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