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①
大学の同級生で親友の佐橋雄大から
久しぶりに連絡があり、
会社帰りに会おうということになった。
『実は付き合い始めた人がいて』
「おめでとう。連れて来たら?」
『いや。バーで働いてるから、そこに
岸野を連れて行きたくてさ』
「なるほど‥‥いいよ、じゃあ明日ね」
通話を終わらせると、
僕はスマホをベッドに放り投げた。
(はは、当てられちゃいそう)
面食いの佐橋のことだから、
相当かわいい子なんだろうな。
つい最近別れたばかりの僕の恋人は
かなりの構ってちゃんで、
付き合っていた2年もの間
気が休まることがなかったので、
ひとりになれた今はスッキリしていた。
もし僕が恋人と別れていなかったら、
気疲れが理由できっと佐橋の誘いには
乗れなかった。
内気な僕とは違う、明るく積極的な佐橋。
そんな彼が、僕は人として大好きだった。
(結婚式には友人代表でスピーチしてやる)
と勝手に野望を抱き、翌日を心待ちにした。
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