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セフレからはじまる本当の… ②
何も考えられなくなるくらい、ドロドロに甘やかされ抱いてくれたのに、彼はシャワーを浴びて、もうスーツに着替えている。
「涼介さん、明日仕事休みじゃなかったっけ?もう終電ないから泊まっていったら?俺も明日大学休みだから、ゆっくりできるんだ」
できるだけ自然に聞こえるように、言ってみた。
もっと可愛くいえればいいのに、それができない。
だからかな?いつも彼は、
「タクシーよんだから大丈夫。君はいつも気を使いすぎだよ」
俺の額にキスをしながら言う。
涼介さんは俺に気を使ってくれているのか、それとも気を使っているフリをして断っているのか…
「気なんて使ってない…」
その後に『だから泊まってって』そう言えればいいのに、その言葉が出ない。
「また連絡してね」
そう言って、涼介さんは俺の唇に軽くキスをして出ていく。
玄関まで行って見送ればいいのに、玄関の扉が閉まり、涼介さんの姿が見えなくなるのが辛くて、いつもベッドの中から見送った。
ベッドの中には、まだ彼の香りがする。
涼介さんがつけている香水の香り。
涼介さんに初めて会ったのは、俺がラブホに連れ込まれそうになっていた時。
大学進学のため、地方から出てきた俺は生まれてはじめてゲイバーに行った。
いろんな人に話しかけられ調子に乗って、飲みすぎた。
かなり酔っ払って、知らない間に知らない奴にラブホに連れ込まれそうになっていた時、助けてくれたのが涼介さん。
「君さえ良ければ送るよ」
そう言ってくれたけど、俺はもっと涼介さんといたかった。だから、
「せっかくだから、ここ、入んない?」
誘ってみた。
涼介さんは驚いた様子だったけど、
「君がよければ」
って言ってくれて、一緒にホテルに入った。
涼介さんは慣れた手つきで部屋を選ぶ。
俺は初めてだったけど、何回も来ているフリをした。
部屋入ると涼介さんは
「何か飲む?」
冷蔵庫を開けてくれたから、俺は水を取って無駄に大きなベッドのヘリに座る。
涼介さんも水を手に取ったけど、ベッドには座らず壁に背をもたれかけた。
「こっちに…来ないの?」
聞いてみたけど、
「ここで大丈夫」
と涼介さん。
「どこで寝るの?」
「一晩ぐらい寝なくても大丈夫」
「立ったまま一晩過ごすの?」
「まさか、ソファーで寝るよ」
「やっぱり寝るんだ」
俺がそういうと、涼介さんはアハハと笑って、
「やっぱりそっち行っていい?」
って訊いてきた。
俺が頷くと隣に座ってくれる。
その時、涼介さんのいい香りがした。
涼介さんがつけている香水の香り。
あんまりいい香りだから、もっと嗅いでみたくて、耳の後ろに鼻を近ずける。
もっといい香りがしたから、もっと耳の後に顔を近づけたら、涼介さんの耳の後にキスしてた。
「誘ってる?」
涼介さんの顔を見ると、先程までの楽しそうに笑った顔じゃなくて、俺に襲いかかりそうな目で見ていた。
そんな大胆なこと俺にはできないけど、涼介さんがそう言うなら、俺は彼を誘ってる。そう思って
「誘ってる」
涼介さんの耳たぶを甘噛みした。
「君、見かけによらず慣れてるね」
顎をグイッと引き上げられると、チュッと軽い音がするキスから、口内に舌が入ってくるようなキスになり、より深いキスをされながら服を脱がされていく。
全身にキスをされ、身体中に電気が走る。
先端から蜜が溢れ、蜜壷に指が入る。
我慢するが声が漏れ、その度涼介さんに
「可愛い」
と囁かれた。
初めてのキス。
初めての…
「また会える?」
シャワーを浴び、髪を乾かして貰っている時に訊いた。
涼介さんは驚いたようだったけど、ホテルにあったメモに名前と電話番号を書いて
「連絡して」
渡してくれた。
それから俺達の関係が始まった。
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