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幼馴染以上恋人未満? ③
明日は大学お休み。
二人でわいわい言いながら夕食を作って食べて、そのあとお風呂に入って寝る用意万端。
おつまみとやっと少し飲めるようになったビールを片手に、彼とソファーに横並びに座り、今日友達から手渡された袋を開けてみると、DVDが入っている。
でもこのDVD、パッケージにも本体にも何も書かれていない。
「これ貰ったんだ。一緒に観る?」
「なんだか嫌な予感しかしないけど、お前が観たいなら観てもいいぞ」
彼の予感はよく当たる。
嫌な予感ってことは、ホラーかな?
DVDをセットして、再生する。
「!!」
映しだされたのは、男性同士が絡まり合う動画…
慌ててリモコンで停止ボタンを押そうとしたけど、押すところを間違えて音量を上げてしまい、リモコンまで落としてしまう。
急いで両手で目を隠したけど、声が…
ちらりと画面をみると、体の奥がうずうずする。
キスの時も音を立てていて、大人のキスはあんな感じなのかと見惚れてしまった。
「あいつもなかなかやるな」
慌てふためいている僕とは正反対で、彼はいたって普通。
どうしてそんなに余裕なの⁉︎
そう思ったけど、それを言ったら僕だけお子様みたいで嫌だ。だから
「ほ、ほんとだね」
余裕ぶって言ってみた。
「ふ〜ん。お前、これみても大丈夫なの?」
意地悪っぽく彼がにやりと笑うから、
「こ、これぐらい全然大丈夫」
そう言いながら、なるべく画面を見ないようにした。
「へぇ〜、その割に、全然観てないけど」
また彼はにやりと笑う。
「み、見てるもん。というか、見なくてもそれぐらい知ってるし、したことあるもん!」
もう子ども扱いされたくなくて、やけくそだ。
「へぇ〜、したこと、あるんだ…」
急に彼の声が低くなる。
これは彼が怒っている証拠。
しまった!やりすぎた。
そう思った時には遅かった。
彼は僕をソファーに押し倒し、僕に覆い被さる。
「したことあるんだったら、もう何されるかわかるよね」
「え?」
聞き返す前に、彼が僕の唇に唇を当ててきた。
はじめ何が起きているのかわからなかった。
でもすぐに、僕は彼とキスをしているということがわかった。
そうわかると、顔から火が出たかと思うほど顔が真っ赤になるのがわかり、パニックになっている間に、彼の舌が僕の口の中に入ってきた。
まるでテレビに映し出されている彼らと同じように、深いキスになり頭の中に舌を絡め合う音が響く。
いつもより彼を近くに感じて、包み込まれているみたいで、頭の中に霧がかかり体の力が抜けていく。
「もう蕩けて…。ほんと可愛い」
そしてまた彼は僕に深いキスをする。
気持ち良すぎて全身が疼く。
下腹部もキュンキュンして、じっとしていられない。
「腰、揺れてんぞ」
彼が反応しきっている僕の楔を、ズボンの上から撫でる。
体の中で何かが弾けて体がビクンと跳ね、その後パンツの中がじっとり濡れていくのがわかった。
あ…僕…
恥ずかしさと悲しさで涙がポロポロ流れ出す。
「わ!ごめん!お前がこんなに感度がいいとは思ってなくて…。本当にごめん」
彼は平謝りしてくれるけど、僕はこんなことされて怒ってるんじゃない。
「僕以外の人にもこんなことするの?」
あまりにも自然に、ああいうことを彼は僕にした。
だから僕の知らないところで、絶対他の人にもしている。
それが一番悲しい。
「お前以外に、俺が?するわけないだろ」
彼は慌てて言っているけど、
「そんなの嘘だ!じゃないとこんなに気持ちいいわけないじゃん」
最後の方はもう泣き声で、多分何言っているのかわかってないと思う。
「あ〜も〜!」
泣きじゃくる僕を、彼は抱きしめる。
「こんなに可愛いくて愛しい恋人がいるのに、そんなことするわけないいだろ?」
ん?
彼の胸の中でしっかり抱きしめられながら、彼が言った言葉を整理する。
「今、僕のこと『可愛くて愛しい恋人』って言った?」
「あ、ああ。言った」
「僕、君の恋人、なの?」
彼の顔を見上げながら疑問系で訊くと、
「え⁉︎違うのか⁉︎」
逆に疑問系で聞き返された。
「え?そうなの?僕、君の恋人なの?」
「え?違うのか?」
「…」
しばらくの沈黙が流れる。
「そっか…違うのか…。恋人でもないやつにこんなことされて、怖かっただろう?ごめんな、そんな思いさせて…」
彼は悲しそうで苦しそうな顔で僕を見て、それから体を離した。
「ち、違う!僕、そういう意味で言ったんじゃない!」
離れていことする彼に、僕は抱きついた。
「違う!僕が君の恋人になれるなんて思ってなかったから…。君を独り占めできるだなんて思ってなかったから。それに僕、キスもしたことなくて、全部君が初めてで…。あの、その、僕、君の恋人になりたい!」
もう彼がどこかに行ってしまわないように、僕は彼に抱きつく力を強める。
「僕、君が好き!一番好き!離れ離れになるなんて嫌だ!」
さっきとは違う涙が出た。
彼と絶対離れたくない。
離れるなんて耐えられないという涙。
「俺もだよ」
彼は僕を強く抱きしめ返してくれる。
「俺もお前と離れ離れになるのなんて、考えられない…。お前のことが、誰よりも何よりも一番大好きだよ」
そう言って、優しくキスをしてくれた。
あとで彼に「僕たちいつから恋人同士なの?」って聞いたら、「出会った時から」って言われたんだ。
ということは、僕たちが恋人同士になったのは幼稚園のとき。
僕たちってケンカもせず、ずっと仲良し恋人って、なかなか凄いと思わない?
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