幼馴染以上恋人未満? ③

1/1
前へ
/38ページ
次へ

幼馴染以上恋人未満? ③

明日は大学お休み。 二人でわいわい言いながら夕食を作って食べて、そのあとお風呂に入って寝る用意万端。 おつまみとやっと少し飲めるようになったビールを片手に、彼とソファーに横並びに座り、今日友達から手渡された袋を開けてみると、DVDが入っている。 でもこのDVD、パッケージにも本体にも何も書かれていない。 「これ貰ったんだ。一緒に観る?」 「なんだか嫌な予感しかしないけど、お前が観たいなら観てもいいぞ」 彼の予感はよく当たる。 嫌な予感ってことは、ホラーかな? DVDをセットして、再生する。 「!!」 映しだされたのは、男性同士が絡まり合う動画… 慌ててリモコンで停止ボタンを押そうとしたけど、押すところを間違えて音量を上げてしまい、リモコンまで落としてしまう。 急いで両手で目を隠したけど、声が… ちらりと画面をみると、体の奥がうずうずする。 キスの時も音を立てていて、大人のキスはあんな感じなのかと見惚れてしまった。 「あいつもなかなかやるな」 慌てふためいている僕とは正反対で、彼はいたって普通。 どうしてそんなに余裕なの⁉︎ そう思ったけど、それを言ったら僕だけお子様みたいで嫌だ。だから 「ほ、ほんとだね」 余裕ぶって言ってみた。 「ふ〜ん。お前、これみても大丈夫なの?」 意地悪っぽく彼がにやりと笑うから、 「こ、これぐらい全然大丈夫」 そう言いながら、なるべく画面を見ないようにした。 「へぇ〜、その割に、全然観てないけど」 また彼はにやりと笑う。 「み、見てるもん。というか、見なくてもそれぐらい知ってるし、したことあるもん!」 もう子ども扱いされたくなくて、やけくそだ。 「へぇ〜、したこと、あるんだ…」 急に彼の声が低くなる。 これは彼が怒っている証拠。 しまった!やりすぎた。 そう思った時には遅かった。 彼は僕をソファーに押し倒し、僕に覆い被さる。 「したことあるんだったら、もう何されるかわかるよね」 「え?」 聞き返す前に、彼が僕の唇に唇を当ててきた。 はじめ何が起きているのかわからなかった。 でもすぐに、僕は彼とキスをしているということがわかった。 そうわかると、顔から火が出たかと思うほど顔が真っ赤になるのがわかり、パニックになっている間に、彼の舌が僕の口の中に入ってきた。 まるでテレビに映し出されている彼らと同じように、深いキスになり頭の中に舌を絡め合う音が響く。 いつもより彼を近くに感じて、包み込まれているみたいで、頭の中に霧がかかり体の力が抜けていく。 「もう蕩けて…。ほんと可愛い」 そしてまた彼は僕に深いキスをする。 気持ち良すぎて全身が疼く。 下腹部もキュンキュンして、じっとしていられない。 「腰、揺れてんぞ」 彼が反応しきっている僕の楔を、ズボンの上から撫でる。 体の中で何かが弾けて体がビクンと跳ね、その後パンツの中がじっとり濡れていくのがわかった。 あ…僕… 恥ずかしさと悲しさで涙がポロポロ流れ出す。 「わ!ごめん!お前がこんなに感度がいいとは思ってなくて…。本当にごめん」 彼は平謝りしてくれるけど、僕はこんなことされて怒ってるんじゃない。 「僕以外の人にもこんなことするの?」 あまりにも自然に、ああいうことを彼は僕にした。 だから僕の知らないところで、絶対他の人にもしている。 それが一番悲しい。 「お前以外に、俺が?するわけないだろ」 彼は慌てて言っているけど、 「そんなの嘘だ!じゃないとこんなに気持ちいいわけないじゃん」 最後の方はもう泣き声で、多分何言っているのかわかってないと思う。 「あ〜も〜!」 泣きじゃくる僕を、彼は抱きしめる。 「こんなに可愛いくて愛しい恋人がいるのに、そんなことするわけないいだろ?」 ん? 彼の胸の中でしっかり抱きしめられながら、彼が言った言葉を整理する。 「今、僕のこと『可愛くて愛しい恋人』って言った?」 「あ、ああ。言った」 「僕、君の恋人、なの?」 彼の顔を見上げながら疑問系で訊くと、 「え⁉︎違うのか⁉︎」 逆に疑問系で聞き返された。 「え?そうなの?僕、君の恋人なの?」 「え?違うのか?」 「…」 しばらくの沈黙が流れる。 「そっか…違うのか…。恋人でもないやつにこんなことされて、怖かっただろう?ごめんな、そんな思いさせて…」 彼は悲しそうで苦しそうな顔で僕を見て、それから体を離した。 「ち、違う!僕、そういう意味で言ったんじゃない!」 離れていことする彼に、僕は抱きついた。 「違う!僕が君の恋人になれるなんて思ってなかったから…。君を独り占めできるだなんて思ってなかったから。それに僕、キスもしたことなくて、全部君が初めてで…。あの、その、僕、君の恋人になりたい!」 もう彼がどこかに行ってしまわないように、僕は彼に抱きつく力を強める。 「僕、君が好き!一番好き!離れ離れになるなんて嫌だ!」 さっきとは違う涙が出た。 彼と絶対離れたくない。 離れるなんて耐えられないという涙。 「俺もだよ」 彼は僕を強く抱きしめ返してくれる。 「俺もお前と離れ離れになるのなんて、考えられない…。お前のことが、誰よりも何よりも一番大好きだよ」 そう言って、優しくキスをしてくれた。 あとで彼に「僕たちいつから恋人同士なの?」って聞いたら、「出会った時から」って言われたんだ。 ということは、僕たちが恋人同士になったのは幼稚園のとき。 僕たちってケンカもせず、ずっと仲良し恋人って、なかなか凄いと思わない?
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

108人が本棚に入れています
本棚に追加