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君が差し伸べてくれた手 ①
「俺子どもが欲しいから別れよう」
俺にはどうしようも、どうしてあげることもできないことを、彼はのぞんだ。
こんなことを言われたら、俺が答えられることはただ一つ。
「わかった」
そういうしかなかった。
同棲していた部屋から彼は出ていく。
彼との思い出がつまったこの部屋。
本当は俺も引っ越したかったけれど、この部屋は俺名義で買ってしまって、売るにも時間がかかるし、新しい部屋を探す気力も残っていなかった。
必然的というべきが、仕事のあと部屋に帰るのは嫌で、近くのバーに足が向くようになった。
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