108人が本棚に入れています
本棚に追加
君が差し伸べてくれた手 ④
年下くんが作った餃子は最高だった。
どうして餃子にしたのか聞くと、以前俺が餃子が好きだと話していたのを覚えていてくれたそうだ。
年下くんと一緒に食器を食洗機に入れ、海外ドラマを観た。
時計を見ると、もう22時。
終電まではまだ時間はあるけど、
「そろそろ帰るよ」
と立ち上がり、かばんを持ち上げようとした時、カバンの持ち手から手が滑り、中身が全部床に散乱した。
「!」
例外なくカバンの底に隠していたジェルとゴムが、床に飛び出し、年下くんの目に止まる。
行為を期待していたみたいで恥ずかし過ぎて、全身真っ赤になっていくようだ。
年下くんはゆっくりジェルとゴムが入った箱を拾い上げる。
「これ…」
「き、気にしないで!変な意味はないから!じゃあ、俺ここで」
散乱したものをかき集め、部屋から出て行こうとした時、後ろから攻めくんに抱きしめられた。
「俺…期待しても…いい?」
耳元で年下くんの震える声がして、俺の心臓は壊れそうなぐらい早く脈打つ。
俺がコクリと頷くと、年下くんは俺の手を引き寝室に向かう。
そしてゆっくりと俺をベッドに押し倒した。
「本当に、抱いて…いい?」
俺を見つめる年下くんの瞳には、獣のような光が宿っている。
俺はまたコクリと頷くと、年下くんは俺の服を脱がし始める。
一瞬キスしそうになったが、スッと顔を下にずらして、ふれられることを期待している胸の突起を、口に含んだ。
声が漏れた。
慌てて両手で口を塞いだら、年下くんにその手を外されて、
「もっと聞きたい」
突起物を甘噛みされた。
もうそこから覚えていない。
愛撫だけで何度も達し、初めてひとつになってからは、声が枯れるまで絶頂に連れていかれた。
次の日、二人赤面しながら「おはよう」と挨拶した。
年下くんが、いつでも俺が泊まれるようにと、日用品を揃えに二人で買い物に出かけた。
買い物の前に映画に行ったり、ケーキを食べに行ったり。
本当に紳士的に接してくれるから、どっちが年上かわからなくなる。
今まで酷い別れ方をされてきてできた傷が、年下くんのおかげで少しずつ癒されていくのがわかった。
その日から毎日デート、週末は年下くんの家で止まる生活が一ヶ月続き、年下くんと恋人として過ごせるのが、あと一ヶ月となってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!