108人が本棚に入れています
本棚に追加
君が差し伸べてくれた手 ⑧
「俺、ここに越してきていい?」
二人ベッドでたわいもない話をしていた時に、唐突に訊いた。
「へ?」
一瞬雅也の動きが止まったかと思うと、ガバッと勢いよく上半身を起こし、俺を見つめる。
「え⁉︎いいの⁉︎一緒に住んでくれるの⁉︎」
「雅也さえ、よければ…」
「いい!いいに決まってる!いつ、いつにする?今日?引っ越し屋に今日頼んで、今日運んでもらうのは難しいから…知り合い総動員させて運ばせる!」
「そんなに焦らなくていいよ。まだマンション売れてないし」
そういうと、雅也は頭についているように見える犬の耳を、しゅんと項垂れさせた。
「俺は…今日がいい…」
上目遣いで言われると、もうダメだ。
「じゃあ、今日、する?」
「いいの⁉︎」
しゅんとしていた顔が、もうひまわりみたいに輝いている。
「でも友達総動員はダメ。自分達で運べる分だけ。な、これでいいだろ?」
「わかった!ありがとう凪。愛してるよ」
雅也は俺の頬にキスをする。
「俺だって愛してるよ、雅也」
俺も雅也の頬にキスをする。
大きなキングサイズのベッドに二人、抱き合いながら深いキスをした。
最初のコメントを投稿しよう!