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 ザーーーーーーーーーー  始めていいっすか?  これは何か怖い体験ない?って夢七夜先輩に頼まれたんで話すんすけど、正直あるあるかもしんないっす。  もう結構巷では有名なんじゃないかなって感じで、ネットとかで検索すれば引っかかる良くあるような怪談の一つっす。  でも、実際に俺が体験したもんがそれしかないもんで、それを元に話させてもらうっす。体験した当人しか分からないかもしんないっすけど、怖かったのは事実っすから。  どんな話かって言ったら、ぶっちゃけて言うと事故物件の話っす。もうこの時点で『ああ』って声が聞こえて来そうっすけど、体験したのがそれなので、その話をするっす。  でも正直事故物件が本当に有るとは思っても見なかったす。もちろん、事故物件自体が存在するのは知ってるっす。世の中理由は知らねえっすけど、〇殺、事故死、他サツなんかも有るっすから。どうしてもそんな物件が有るくらいは、流石の俺も知ってたってのは最初に言っておくっす。  でも、俺が言いたい事故物件ってのは、本当に出る物件が存在するってことっす。別に俺に霊感が有ったからとかそんなんじゃないっす。実際に見た俺っすけど、今でも正直俺には霊感なんて無いって思ってるすから。それよりそういう物件ってのは、霊感が有ろうが無かろうが誰でも見ちゃうってことっす。  あれは俺が就職浪人していた頃なんすけど、兎に角上京して働かなきゃって思って、親からお金を借りて部屋を借りることから始めたんすけど、部屋をスグに見つけて仕事探ししようって焦ってたのが、今思えばよくなかったっすね〜〜。  皆さんにも此処で言っておくっすけど、物件選びの際に不動産の担当者が一緒に来る場合は気をつけて下さい。特にドアの鍵を開けてどうぞじゃ無くて、先に担当者が区画毎を確かめてから、どうぞって案内されるパターン。  事故物件なのは間違いないっす。しかもそれは出る方のって意味っす。俺も今思えば気付くべきでした。他の部屋はスムーズに案内されたのに、そこだけバスルームに入ると、なにかコソコソし始めてたんす。そん時は何をしてるのか分からなかったっすけど、まあこの俺の体験した話を聞いて貰えば、何を不動産の担当がコソコソとやってたのかが分かると思うっす。  ほんで、兎に角急いで部屋を見つけたいってのも有って、手頃な価格で日光条件も良かったので、その部屋に決めたんす。一週間後には実家から荷物を運んで、俺の上京生活が始まりました。場所は言うと不味いので言えないんすけど、中央線沿いってことだけ言っておくっす。別に中央線沿い限定の話じゃないんすけど、まあ一応。  引越したその日から、恐らく始まってたんだと思うんすけど、とにかく俺鈍感すから。気付かなかったんすね。つーか、最初から同じなら分かるんすけど、徐々に徐々に最初はジャブじゃないっすけど、どんどんエスカレートされて俺っちはようやく気付いたってとこっす。  全ては髪っす、髪から始まったす。  髪なんて大したことないかもしんないっすけど、あれはマジで厄介っす。  しかも日に日に増えて行くんすから・・・・・・。  
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