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ちょうど一年前、レンナートは国王暗殺をたくらむ逆賊どもから国王を守り抜き、その代償として片腕を失った。
自らの命を賭けて王を守ったことから、王はレンナートに深い信頼を寄せ、騎士団長として留まるよう求めた。しかし、片腕になったことから思うように戦えなくなったレンナートは、騎士団長の座を自ら辞し、騎士団を去った。
そんなレンナートをなかば押しかけるようにして結婚したのが、レンナートの部下だった女騎士ロゼッタだ。彼女は半ば強引に、左腕を失ったレンナートには手助けが必要だろうと家に転がり込み、自暴自棄になったレンナートと結婚した。
「俺みたいなろくでなしと結婚するなんて、ロゼッタも酔狂なヤツだ」
「ロゼッタちゃんはそういう子じゃないだろ。確かにちょっと人形みたいに綺麗な顔してるし、無口でとっつきにくい感じだが、根はいい子だし……」
「俺にはもったいないって言いいたいんだろ」
青灰色の瞳が、陰鬱な色を帯びる。
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