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「新入生のみなさん、入学おめでとうございます!  そしてようこそ! 千陽大学ギターサークルへ!」  ほんの1、2年早く生まれただけの先輩とやらが偉そうに言う。周りの馬鹿面どもが嬉しそうに頭を下げる中、俺はやっとの思いで欠伸を噛み殺した。  千陽大学。だいぶ甘めに見て中の上ぐらいの偏差値を誇る、なんの変哲もない中堅私立。  本来なら俺はこんな場所に居るはずじゃなかった。  大学入試センター試験で大失敗をかまし、志望校のレベルを大幅に下げざるを得なくなった結果流れ着いた、滑り止めのそのまた滑り止め。  受かった喜びもなけりゃ、ここでやりたいことも特にない。  かと言って浪人するほどの熱意があるわけでもなかったから、結局今こうしてここに居るのだけれど。
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