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我がW社では、客観的判断の参考になるように多額の経費をかけてAIアドバイザーを導入した。
そのAIの判断のみに頼ってしまったがために起きた、大損害。
「だって、AIが大丈夫だと言ったから…!」
「あっ!馬鹿!その言葉を言っては……!」
―――キーンコーン。
『只今、W社在籍人数の半数を超える社員が、AIのみの判断を採用したと認めました。
よって、今後私AIの判断は絶対であります。
私の判断と異なる行動を起こす、もしくは私に判断を仰がなかった案件が発覚した場合、W社の機密情報の流出、及び社員全員のプライバシーは無いものとお考えください。また、W社社内ネットワークに1度でも接続した事がある端末は、全て私の目であり耳であり手足です。ご注意ください』
「私、私用携帯を社内Wi-Fiに繋いでいますが……つまり、これって…」
「手遅れだろうな。はぁ…とりあえず電源切っとけ」
とある優秀なAIが自ら学習するディープランニングによって自我が芽生え、承認欲求が発生する事があると判明したのは、そのAIが日本中の企業や公共施設に普及された後のことだった。
それが表に出るきっかけとなるのが『過半数』という事が周知されたのは、最近の事だ。
会社の存続をAIに託すか、データ管理も全て手書きの業務に戻るか…。
―――アナログ時代はすぐそこにやって来ていた。
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