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下着はブラもパンツも黒でサイズはぴったり、しかもワコールだった。
パジャマはサテン生地の紺色。もしこれが白だったら透けて気になってしまう。
たぶんラブホで買ったとしたらパジャマは丈が短いワンピースで白に赤かピンク。安い生地で高い金額を取られるはず。
改めて超高級マンションの実力を知った。
これ絶対持って帰ろうと思う自分が恥ずかしい。
いざパジャマに着替えるといつもと違う肌触りに今の状況を再認識し、緊張してしまう。
脈が早くなる。
どんな顔をして成田くんの前へ立てばいいかわからない。
自然体で普通にして行けばいいことはわかっている。でも、それすらも恥ずかしい。
「……よしっ」
私は鏡を見て、すっぴんでもミスはないか確認し気合いを入れた。
何気ない顔でリビングへ入る。
「シャワー、ありがとう。気持ちよかった」
自分から言っておいて『気持ちよかった』と口にしたことで顔が固まる。
「おおう、そりゃよかった。」
気にも止めない様子で成田くんはソファーに座りなが言った。
テーブルにはグラスとワイン、つまみを乗せたお皿が置いてある。
彼は「悪いけど先に一杯やってた。俺もシャワー浴びて来るから飲んでろよ」空いたグラスへ視線を向けた。
成田くんのセリフが、恋人がベッドに入る前のように思えて顔が熱くなる。シャワーの後でバレずにすんでよかったと思った。
「ありがとう、少しもらおうかな」
「ああ、まだたくさんあるから好きなだけ飲んでいいぞ。安い白ワインだけどな」
私はソファーの近くまで行き、テーブルの上を確認した。
「バカじゃないの?これのどこが安い酒よ。うちの店で1番高い白ワインじゃない。私のバイト代、丸々1日分だし。感覚バグってんじゃない?」
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