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「 ぁ~あ! 凄ぉ~!
今日は風そんなに?
強いんだ? …
あんなに幟バタバタ
煩いけど … 」
でも …
その幟が踊らされている
そんな強い風も私は
感じることもなく …
だって …
この中に居る私は …
どんなに風が強くても
ここは鉄の箱だから?…
そう …
よく港に置かれてる
コンテナの様な …
ボックスの中に居る私なので
なにも感じないです …
それにここは …
システム化されたセキュリティも完璧!
なので ここでは …
私はそのシステムの
ルール通りに …
その 時間通りに動かされ …
ちょっとでもその設定と違う時間に?
違う事をしようものなら?
ですから … たとえば …
ここの ぶあつい防火扉を開けて?
あ!
そう! いま! ちょっとだけ!
外にでも 出ようと 思って!
そのドアに手を動かして
開けてしまったら?
『 ジりりりりりㇼ------ !! 』
… ビクン!! …
… ぅわ ------!! …
と !! ケタタマシク !!
耳が痛くなる !! ほどの!
いつまでも !!
ずっと!
セキュリティ会社が解除するまで!
そんな大音量の警報ブザーが
無神経に鳴り響き …
そんなに続く!騒音で !!
こんな …
背の高いオフィスビルが立ち並ぶ
都心の ハイセンスな街なみを
ダイナシに? してしまうので !!
なので今日も …
目のまえの…
はばの広い何車線もある道路には
車がたくさん行き交っていても?
その手前の!
はばの広い歩道を
ハイセンスな方々が
ちらほら … ですが
颯爽と通り過ぎようと?
そのような外側は 別世界の様に
ここで ジッと している 私は
フロントのぶあついガラス張りの
その外側を …
そんなにガチガチに規制された
制約されたここから …
「・・・・」
はい …
お越しになる方が居なければ …
独り なので 口も開かずに
ボぉ~ッと そちらを見ていて …
… なんです
そん な …
私のお仕事は
独りで そんな狭い箱に
閉じ込められて居る?
宝くじ売り場の販売員 …
なので …
… パタ ㇼ
… にゅ~
「 ぁ …
くじを下さい … 」
「 イラッシャイマセ!
くじには種類が
御座いますが? 」
「 あ … すぐ?
判るやつって
あるんですか? 」
「 はい!
スクラッチとか
ですか? 」
「 あ?…
それで良いです …
じゃ … ひとつ
ください … 」
「 はい!
スクラッチくじ1枚
300円で御座います 」
… ガサゴゾ
… コトッ!
… パラパラパラッ …
「 … ではこれで … 」
「 ありがとうございます!
当たりますように~!」
…ぇ?
「 あ … 」
… 片手を突っ込み …
ズボンポケットから小銭を出し …
… パラパラと …
カルトンへ出した小銭で
とりあえず宝くじを手に入れた
そのひとは …
また … 歩いてきた方へ
…トボトボトボ と
戻った? の だけれど …
そのひとは?
くじを買うのが初めてだったから?…
それが …
窓口対応挨拶だとも知らないで? …
… もう歩き出したのに律儀に?
振返るとこちらへ軽く会釈して …
また ポケットに手を突っ込むと …
… ガサゴゾ
… 指に? … あたった? …
10円硬貨で? …
一緒にポケットから出した
硬めの 名刺入れの 上に
その宝くじをのせると? …
その場ですぐにその箇所を削って …
けれど …
初めてだから?
その結果の見方も?知らないで? …
「 ぁ …
そうか … 」
… トボトボトボ
その姿 … 大きなカラダなのに …
もうずいぶんと分別ある大人なのに?
なのに …
だからよく視さえすれば
初めてだって …
そのくじにだって 試し方も 結果の
見方も記してあるのに?…
そこを見る気もないのか …
… だから?
そのひとは 再び のそのそ?
ぷらぷら ~ … と!
また ここに来て …
でも … それじゃぁ …
随分と暇そうな?
時間がある?様 な …
だって …
まだこの時間 …
普通?
みんな?
働いてる時間なのに?
そう …
たぶんこのひと会社員なのに?
… なのに!
もう … この時間は
やる事もないから?
こうしてます な?…
で …
それじゃぁ? 私から見ても …
それに!
こんなに大きなカラダでここに
長く居られてもかなり目立つし …
そんなビシッとした
ハイブランドのスーツ姿だし …
だから …
そんな雰囲気も出てしまってるのに?
… にゅぅ~
「 スミマセン …
これ … 」
そのひとがそれでも困り顔で …
くじを窓口に差し出したから …
なので?
私はビジネスライクに優しく …
「 … はい!
お調べしますね!
そうです … ネ …
ぁ … ちゃんと
削ってあるので …
… 大丈夫ですよ!
では! 機械で
お調べいたします!」
… カチャ!
… ピ~ピ~ピ~ !! …
「 … はい!
おめでとうございます!
1万円当たっておりました!
こちらは今!お支払いで
よろしいですか?」
… キョトン
「 あ? は ぃ … 」
… ニコリ
「 … それでは では!
あらためまして!
おめでとうございます !!
1万円で !! ございます !!
どうぞ !!
お確かめください !! 」
… コトン
このひとは カルトンにのせられた
1万円札を不思議そうにのぞき込み…
「 あ? …
ありがとうございます
あ の … 」
… キョトン
「 … え?
ぁ … の? 」
そんな?このひと が …
それでも? まだ?
ぼぅ ~ っと?立ってる … から?
なの で …
私も 不思議 に …
見ている と …
「・・・・」
… ククっ!…
…え?
笑った? の?
… どうしちゃったの このひと …
「 あ … の …
1万円で …
花束? って …
つくれますか? 」
… へ? なんで?
… パチクリ
「 はい? … え?
お花? の?
" 花束 ” ですか?…
あ … どなたかに?
プレゼントです?
わ! ステキですね!
その使い方も!
あり!ですね!
… はい!
ではでは ~!
かなり!大きな!
花束が!つくれる?
… ん じゃ?
ないですかぁ~ !!
ステキ!ですぅ~! 」
… パチパチパチ
そのときの私は愛想よく!
" ステキ ” を 繰り返し …
でもそれは …
" なぜ?突然?「花束」って? "
" なんで私に? それ?訊くの?"
な …
そんなこのひとが
変なひと? だからで …
… " え? このひと? 大丈夫?
このカラダ! で? だって!
大きいし? 似合わないけど!
な!のに? 花束って? ” …
" なん? で? ”
… などと?
まぁ …
そこまで思ったのは
やっぱ失礼 かも だけど …
その意外な?
風貌のインパクトも凄いし?
でもまぁ … 私だって
これがお仕事なので …
" それ ” に!似合うようにと?
" かなり大きな花束が … ”
なんて …
でも!
すかさず !!
自分が途惑った!なんて!
それは! 仕事で!
対応している相手には!
思わせない様に?
私 " 同調 ” の拍手で?
手まで叩いて ごまかし …
なので?
負けない営業用の!
ニコニコ顔でまっすぐ!
窓口の外まで!
自分のそのような
手を差し出して …
… キョトン
「 ぃえ …
… はい
そうですか … 」
… ペコリ
なので?
そのひともまたキョトンと …
私の 大げさなそれに恐縮して?
大きなカラダなのに?
チョコン! っと!
頭を下げると …
… やっと帰った?
… の? か? な?
でも …
確かに?
この売り場にそんなくじは常時
1種類ではなく …
この日も 一等賞金が大きな
抽選会もあるくじは3種類だし …
数字を選ぶものや スポーツくじも
あるし …
スクラッチくじも 多い時には
それだけで4種類くらい
並べている時もあって …
其々 一等の当選金は違うし
当たる確率も 違うし …
だからそのひとだけでなく
購入の仕方も 試しかたも
一通りでもないから …
解らないひとも まぁ幾人もで …
だから 窓口の私は
ただ くじを売るだけではなく
そのご説明も度々する事になるけれど
これ …
どう でしょ …
これらのくじ …
いまは ネットでも買えるし?
その購入しようとしているひとが
ほんとに? どれだけ?
そのしくみ? や 当選確率?
試し方 理解できて?
購入しているのかどうか …
皆さま ご自身で
お金を出すのに …
なんだか それじゃ …
私なんかじゃなくて って …
もっと 的確に ちゃんと
それぞれの 方々に合った
ご案内がスムーズにできる様に …
この窓口は
そんなAIに任せたらいいのに …
なんて … 思ったりもして …
だって… くじを発券する端末とか
こんな私が
オペレーションして出してるし …
なら …
お客様が直に 機械操作しても
同じだだろうし …
その際に?画面上で とか …
ヒト型の人形が とか?
くじの種類や 当選確率等も
おしゃべり? 表示すれば?
一目瞭然で わかりやすいのに …
なんて …
このコンテナボックスの様な
中に 私 閉じこめられて?
居るからか …
ここ …
ひとが … 必要なのかな …
なんて … そんな事 ふと
私 … 思って しまぃ …
でも …
… トコトコトコ
… にこ
「 こんにちは ~
今日は?
何曜日だったの?」
…ニコ
「 … はい!
こんにちは~
今日は木曜日です!」
あ … 今日も?
この方 また 曜日 尋ねられた …
そう なんです …
ここには
いろんな方々がお越しになって …
この方は70代の女性で …
毎日 この時間に なぜか
その日の曜日をお尋ねになる方で …
毎日 なので つぎの日は
前日の 次の 曜日なのですが …
… ニコ
「そ? アリガト …
じゃぁ …
スクラッチ1枚チョウダイ 」
… コト
…ニコ
「 いつも
ありがとうございます!
では スクラッチくじ
本日のも300円で御座います
お確かめください 」
… コクリ
「 … はいはい
これ … ね!
アリガト 」
… トトトトト
… ぺこり
「 ありがとうございました
またお越しくださいませ!
当たりますように~! 」
… なんか そのお客様は とても
おだやかな 可愛らしい方なんです!
いつもニコニコでお越しいただいて …
だから 私も!
ビジネスライクじゃなくてつい
そんな 笑顔になっちゃって …
この方は そのまま トコトコと …
この売り場近くのバス停に往かれ …
いつも バスで いらして下さる
みたいなんです …
なので …
私はこの箱から出られないけれど …
いつもその方の後ろ姿
見送っているんです …
今日も … ちゃんと
バスに乗れますように …
… そんな いつも通りの方々が
この売り場には 他にも …
… パタ!
「 今日はなんのくじ
売ってるの?… 」
… にこ
「 はい!
本日は抽選日までが
お楽しみのくじが
3種類と …
スクラッチくじ1ッ種類
と … 同じく …
本日が抽選日の
数字を選ぶくじと …
全!試合後に結果の判る
人気のスポーツくじ
などが ありますよ …」
… きょとん
「 ふぅ ~ ん?
なんだかさ …
最近さぁ いっぱい?
種類増えてさ
いろんなのあるね …
じゃぁ … 今日は …
" 粒の日 ” だから … 」
「 … そうなんです
数字を選ぶものも
何種類かありますし …
その中で また
タイプ 選んだㇼ …
申し込みカード
それぞれ別であったㇼ …
なので
窓口で言って戴いたら
私が入力しますから … 」
… にやり
「 そうなんだよね …
じゃぁさ!
当たるやつ!
ちょうだい!」
… ビク
「 そ !? …
そう ですね …
大きく当たると
善いですね … 」
そうなんです …
くじには 当たりはずれがあって …
それは私には
どうする事もできないのですが …
ですが …
こう謂われる事も あって
なので 困ってしまうことも …
でも … こちらの方は …
皆さん良い日とご存知の「大安」
の 日だけでなく …
" 粒の日 ” と
いまもおっしゃったので …
その!
膨れ上がる吉日の「 一粒万倍日 」
の事や …
最上の吉日の 「 天赦日 」や …
金運に関係する日の「 寅の日 」
「 巳の日 」等の開運日にもお詳しく
ですから …
くじを購入する お日にち迄
こだわっているくらいの方なので …
その 当たりを 待つ 思いは
より 大きく? その?
お気持ちは強い方なのかもしれません
なので …
その様に 窓口で謂われてしまうと
私の方といたしましても
その対応に は … で …
そうなんです …
なので 先ほどボヤキました様に
この売り場はどんな時にでも的確に
対応できる知的な情報処理システム
のAIの方が 善いのかな …
なんて 思ってしまうのです…
でも …
… タタタタタ
『 スミマセン!
助けて下さい!
僕!友達と初めてココに
来たんですけど!
はぐれてしまって …
いま! スマホも!
お金も持ってなぐて!
ココ!
どこだか分からないし … 』
…ㇵァㇵァㇵァ
… ドキ!
「 … そう?
なんですね …
それは 困った
です ね … 」
その子は高校生くらいの男の子で …
「 初めてここに … 」なのでしたら?
遠くから? 観光で? 訪れて?
きたのでしょうか …
ここまで 慌てて走ってきた様で
私は違うトコロを見ていても
その足音も たしかにここまで
聞こえてはいたのですが …
… ぅ~ん どう?
イタシマショウ …
… でも もう少し
お話をお伺いしないと
ですよ ね …
… おちついて ね 私 …
私は 私にも そう言い聞かせ …
… しずかに ゆっくりと ね!
「 … ここへ は?
どうして?
来たんです? か? 」
… 焦
『 はい … 今日! は!
東京都?に 来て! で!
東京タワーに往ごうと …
友達 と
一緒だったんですけど …
駅から出て歩いてたら …
僕だけ …
トイレに行ぎたくなって …
だからみつけた
コンビニでかりて …
そんとき!
バッグを友達に
預けて …
で … 出できたら
居なぐなってて …
コッチまで探しながら?
来たんですけど … 』
…ㇵァㇵァㇵァ
… ぅんぅん
「・・・・」
… ぅん~ん それは …
確かに お困り で …
でも … ちゃんと
これまでのお話もできています
よ ね …
でしたら … ですね …
… やっぱ り? ゆっくり ね!
「 … そうですか
大丈夫ですよ!
ほぉ~ら チョッと
振り返ってみて下さい
そのコンビニ は?
ここから …
見えてます よね
とても近くですから!
どう でしょう …
戻れます よ ね? …
もしかしたら …
まだ
そのコンビニの中で?
お友だちは
商品を見ながら?
待って居るのかも
しれないです …
あ!もしかしたら?
大きな?
商品棚とかで?
みえなかったのかな …
でしたら …
どうでしょう …
もう一度
そこへ戻って …
もし!
お友だちが居なければ
また ココに …
私は …
ココに居ますから … 」
私は …
わざと 長々 に で …
それを ゆっくり と! にして …
その男の子が 落ちつくまで
に してから …
私は 掌だけを
窓口の外にまで出して
コンビニの方へ向けて
ゆっくりと動かし …
… キョロ ㇼ
「 … あ !! ほんどだ !!
は … い …
見えてます!
ね … 」
この男の子? は …
ちゃんと自分の状況が
お話ができる 状態で …
もう大きいので 泣き出したり?
していません し …
でも? 慌てて?
走ってここまで来たのなら …
初めてのところで ビックリした?
だから驚いた だけで? …
それに …
そうして走れたのなら?
体の具合も悪くは? なさそう?
なの で …
あいにくと 私は防犯上 …
ここからは 離れられないので …
掌を … で …
ですが …
まずは その様に
ご案内してみました …
… にこ
「 … 大丈夫ですよ
そのコンビニまでは
ここからも見えますから
私もここで!
ちゃんと見ていますから! 」
その男の子? には
私がここからは出られないとは
言えませんので
この様なお話のしかたに
なってしまいました …
それでも …
「 見ていますよ … 」 に?
安心したのか?
男の子は頷くと …
でも …
こんどは ゆっくり …
やっぱり不安げに?
コンビニへ向かって 歩き出し …
私は その後ろ姿がコンビニの中に
入って往くのを確認して て …
すると …
それから 数分?で …
その男の子は!
お友だち?と その
コンビニから出てくると
また こちらに向かって
こんどは 速足で歩いてきました …
スタスタスタ …
スタスタスタ …
… ニコニコ
『 あのぉ~!
やっぱり友達は
コンビニの中に
居ました~!』
…ニコ
「 … そうでしたか?
ヨカッタですね!
私も安心いたしました!
それでは! このまま!
本日の目的地
東京タワーへ!は!
はい! ここ!
この道をまっすぐですよ!
ぜひ!
楽しんできてください!
どうぞ!
いってらっしゃいませ !! 」
… ペコリ
「 … ふぅ~! はい!
ゴシンパイオガケシテ!
スミマセンデシタ~!
ホンドに!
アリガトウゴザイマシタ!
じゃ!… 行ってきます!」
… ハハハハ
… なにやっでんだよぉ~!!
… うるせー
…ハハハハハハ!
…ハハハハハハ!
…タタタタタタ
…タタタタタ
その男の子たちは ボールが
弾けるように はしゃぎながら
ココから近くの 東京タワーへ
向かって 駆けて往きました …
その後姿を見送っていると …
なんだか …
いまの世の中 …
とても機能的に効率よく
便利にも なって いて …
彼らの様な若い人も …
それこそもっと小さなお子さんも
そんなアイテムに対する馴染みは
ずいぶんとあっても …
いざ …
それらを手放してしまうと?
初めての場所で?
初めてのアクシデントの時には?
こうして …
迷ってしまうのか と …
私はこの
" 箱の中に居る自分 ” が
なにもできなくて …
いつも 力不足です し …
ですからなにかと!
もどかしかったりも致しますが …
はい … なので …
なんでもできるAIの方が と …
ついさっきまでも
思っておりましたが …
ここは
オフィスビルが立ち並ぶ場所 …
そんな …
まずは都心からと?
コンビニなどでもどんどん
AI化は進んでいるでしょうし …
なのに?
この売り場も無人になっていたら …
そう思うと … こんなとき?
少しはそんな方々の
お役にたてている? の?
なんて? …
… なら …
ここのくじを 機械任せではなく
お客さまと対面しながら の
そんな私の 手で …
私はこれからも ここで
くじをお売りしていこうかと …
… ほ
「 … ヨカッタ … 」
あれ?… 東京タワーは?
今日は 何時まで営業してるのかな …
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