きっとあなた フェチ 9

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  「 ぁ~あ! 凄ぉ~!      今日は風そんなに?          強いんだ? …      あんなに幟バタバタ           煩いけど … 」 でも …  その幟が踊らされている そんな強い風も私は      感じることもなく … だって … この中に居る私は … どんなに風が強くても       ここは鉄の箱だから?… そう … よく港に置かれてる       コンテナの様な … ボックスの中に居る私なので        なにも感じないです … それにここは … システム化されたセキュリティも完璧! なので ここでは …   私はそのシステムの     ルール通りに …   その 時間通りに動かされ … ちょっとでもその設定と違う時間に? 違う事をしようものなら? ですから … たとえば … ここの ぶあつい防火扉を開けて? あ!  そう! いま! ちょっとだけ! 外にでも 出ようと 思って! そのドアに手を動かして       開けてしまったら?    『 ジりりりりりㇼ------ !! 』 … ビクン!! …   … ぅわ ------!! … と !! ケタタマシク !! 耳が痛くなる !! ほどの! いつまでも !! ずっと!  セキュリティ会社が解除するまで! そんな大音量の警報ブザーが       無神経に鳴り響き … そんなに続く!騒音で !! こんな … 背の高いオフィスビルが立ち並ぶ 都心の ハイセンスな街なみを ダイナシに? してしまうので !! なので今日も … 目のまえの… はばの広い何車線もある道路には 車がたくさん行き交っていても? その手前の! はばの広い歩道を ハイセンスな方々が ちらほら … ですが 颯爽と通り過ぎようと? そのような外側は 別世界の様に ここで ジッと している 私は フロントのぶあついガラス張りの                   その外側を … そんなにガチガチに規制された 制約されたここから …          「・・・・」 はい … お越しになる方が居なければ … 独り なので 口も開かずに  ボぉ~ッと そちらを見ていて … … なんです        そん な … 私のお仕事は 独りで そんな狭い箱に 閉じ込められて居る? 宝くじ売り場の販売員 … なので …          … パタ ㇼ     … にゅ~      「 ぁ …         くじを下さい … 」 「 イラッシャイマセ!     くじには種類が      御座いますが? 」     「 あ … すぐ?       判るやつって        あるんですか? 」 「 はい!    スクラッチとか        ですか? 」   「 あ?…      それで良いです …       じゃ … ひとつ          ください … 」 「 はい!   スクラッチくじ1枚    300円で御座います 」         … ガサゴゾ     … コトッ!       … パラパラパラッ …      「 … ではこれで … 」 「 ありがとうございます!      当たりますように~!」        …ぇ?          「 あ … 」 … 片手を突っ込み … ズボンポケットから小銭を出し …          … パラパラと …  カルトンへ出した小銭で とりあえず宝くじを手に入れた           そのひとは … また … 歩いてきた方へ …トボトボトボ と     戻った? の だけれど … そのひとは? くじを買うのが初めてだったから?… それが …  窓口対応挨拶だとも知らないで? …  … もう歩き出したのに律儀に?  振返るとこちらへ軽く会釈して … また ポケットに手を突っ込むと … … ガサゴゾ  … 指に? … あたった? …          10円硬貨で? … 一緒にポケットから出した  硬めの 名刺入れの 上に   その宝くじをのせると? … その場ですぐにその箇所を削って …            けれど … 初めてだから? その結果の見方も?知らないで? …       「 ぁ …           そうか … 」     … トボトボトボ その姿 … 大きなカラダなのに … もうずいぶんと分別ある大人なのに? なのに … だからよく視さえすれば         初めてだって … そのくじにだって 試し方も 結果の       見方も記してあるのに?… そこを見る気もないのか …           … だから? そのひとは 再び のそのそ? ぷらぷら ~ … と! また ここに来て … でも … それじゃぁ … 随分と暇そうな? 時間がある?様 な …             だって … まだこの時間 … 普通? みんな? 働いてる時間なのに? そう … たぶんこのひと会社員なのに? … なのに!     もう … この時間は       やる事もないから?        こうしてます な?… で … それじゃぁ? 私から見ても … それに! こんなに大きなカラダでここに 長く居られてもかなり目立つし …  そんなビシッとした ハイブランドのスーツ姿だし …  だから … そんな雰囲気も出てしまってるのに?     … にゅぅ~      「 スミマセン …            これ … 」 そのひとがそれでも困り顔で …  くじを窓口に差し出したから … なので? 私はビジネスライクに優しく … 「 … はい!     お調べしますね!    そうです … ネ …      ぁ … ちゃんと    削ってあるので …      … 大丈夫ですよ!    では! 機械で      お調べいたします!」            … カチャ!    … ピ~ピ~ピ~ !! … 「 … はい!   おめでとうございます!   1万円当たっておりました!   こちらは今!お支払いで        よろしいですか?」      … キョトン        「 あ? は ぃ … 」      … ニコリ 「 … それでは では!     あらためまして!   おめでとうございます !!   1万円で !! ございます !!       どうぞ !!     お確かめください !! 」             … コトン このひとは カルトンにのせられた 1万円札を不思議そうにのぞき込み…                   「 あ? …      ありがとうございます            あ の … 」   … キョトン 「 … え?   ぁ … の? 」      そんな?このひと が …   それでも? まだ? ぼぅ ~ っと?立ってる … から?           なの で … 私も 不思議 に …      見ている と …          「・・・・」                 … ククっ!… …え?  笑った? の? … どうしちゃったの このひと …    「 あ … の …          1万円で …       花束? って …         つくれますか? 」 … へ? なんで? … パチクリ 「 はい? … え?     お花? の?   " 花束 ” ですか?…  あ … どなたかに?     プレゼントです?  わ! ステキですね!      その使い方も!  あり!ですね!         … はい!  ではでは ~!   かなり!大きな!    花束が!つくれる?         … ん じゃ?   ないですかぁ~ !!      ステキ!ですぅ~! 」        … パチパチパチ そのときの私は愛想よく!      " ステキ ” を 繰り返し … でもそれは … " なぜ?突然?「花束」って? "    " なんで私に? それ?訊くの?" な …     そんなこのひとが     変なひと? だからで … … " え? このひと? 大丈夫?  このカラダ! で? だって!   大きいし? 似合わないけど!    な!のに? 花束って? ” …        " なん? で? ”                      … などと? まぁ … そこまで思ったのは  やっぱ失礼 かも だけど … その意外な? 風貌のインパクトも凄いし? でもまぁ … 私だって       これがお仕事なので … " それ ” に!似合うようにと?  " かなり大きな花束が … ”          なんて … でも!  すかさず !! 自分が途惑った!なんて! それは! 仕事で! 対応している相手には!      思わせない様に? 私 " 同調 ” の拍手で?    手まで叩いて ごまかし … なので? 負けない営業用の!  ニコニコ顔でまっすぐ! 窓口の外まで! 自分のそのような       手を差し出して …    … キョトン     「 ぃえ …           … はい        そうですか … 」            … ペコリ なので? そのひともまたキョトンと … 私の 大げさなそれに恐縮して? 大きなカラダなのに?  チョコン! っと!       頭を下げると … … やっと帰った? … の? か? な? でも … 確かに?  この売り場にそんなくじは常時 1種類ではなく … この日も 一等賞金が大きな  抽選会もあるくじは3種類だし … 数字を選ぶものや スポーツくじも            あるし … スクラッチくじも 多い時には それだけで4種類くらい     並べている時もあって … 其々 一等の当選金は違うし 当たる確率も 違うし … だからそのひとだけでなく 購入の仕方も 試しかたも  一通りでもないから … 解らないひとも まぁ幾人もで … だから 窓口の私は ただ くじを売るだけではなく そのご説明も度々する事になるけれど これ … どう でしょ … これらのくじ … いまは ネットでも買えるし? その購入しようとしているひとが ほんとに? どれだけ?  そのしくみ? や 当選確率? 試し方 理解できて? 購入しているのかどうか … 皆さま ご自身で お金を出すのに … なんだか それじゃ … 私なんかじゃなくて って … もっと 的確に ちゃんと それぞれの 方々に合った ご案内がスムーズにできる様に …  この窓口は  そんなAIに任せたらいいのに … なんて … 思ったりもして … だって… くじを発券する端末とか こんな私が オペレーションして出してるし … なら … お客様が直に 機械操作しても 同じだだろうし … その際に?画面上で とか … ヒト型の人形が とか? くじの種類や 当選確率等も おしゃべり? 表示すれば? 一目瞭然で わかりやすいのに … なんて …  このコンテナボックスの様な 中に 私 閉じこめられて? 居るからか … ここ … ひとが … 必要なのかな … なんて … そんな事 ふと  私 … 思って しまぃ … でも …  … トコトコトコ     … にこ     「 こんにちは ~          今日は?       何曜日だったの?」 …ニコ 「 … はい!     こんにちは~   今日は木曜日です!」 あ … 今日も?  この方 また 曜日 尋ねられた … そう なんです …  ここには  いろんな方々がお越しになって … この方は70代の女性で …   毎日 この時間に なぜか  その日の曜日をお尋ねになる方で … 毎日 なので つぎの日は  前日の 次の 曜日なのですが …  … ニコ  「そ? アリガト …          じゃぁ …     スクラッチ1枚チョウダイ 」          … コト …ニコ 「 いつも   ありがとうございます!   では スクラッチくじ  本日のも300円で御座います       お確かめください 」     … コクリ      「 … はいはい        これ … ね!           アリガト 」       … トトトトト … ぺこり 「 ありがとうございました   またお越しくださいませ!      当たりますように~! 」 … なんか そのお客様は とても おだやかな 可愛らしい方なんです! いつもニコニコでお越しいただいて … だから 私も!  ビジネスライクじゃなくてつい  そんな 笑顔になっちゃって … この方は そのまま トコトコと … この売り場近くのバス停に往かれ … いつも バスで いらして下さる         みたいなんです … なので … 私はこの箱から出られないけれど … いつもその方の後ろ姿  見送っているんです …  今日も … ちゃんと     バスに乗れますように … … そんな いつも通りの方々が   この売り場には 他にも …     … パタ!     「 今日はなんのくじ         売ってるの?… 」 … にこ 「 はい!   本日は抽選日までが   お楽しみのくじが       3種類と …  スクラッチくじ1ッ種類  と … 同じく …    本日が抽選日の    数字を選ぶくじと …  全!試合後に結果の判る    人気のスポーツくじ     などが ありますよ …」    … きょとん    「 ふぅ ~ ん?         なんだかさ …      最近さぁ いっぱい?         種類増えてさ       いろんなのあるね …      じゃぁ … 今日は …       " 粒の日 ” だから … 」 「 … そうなんです   数字を選ぶものも   何種類かありますし …   その中で また   タイプ 選んだㇼ …   申し込みカード   それぞれ別であったㇼ …   なので    窓口で言って戴いたら    私が入力しますから … 」    … にやり    「 そうなんだよね …          じゃぁさ!      当たるやつ!         ちょうだい!」 … ビク 「 そ !? …   そう ですね …   大きく当たると     善いですね … 」 そうなんです … くじには 当たりはずれがあって … それは私には どうする事もできないのですが … ですが … こう謂われる事も あって  なので 困ってしまうことも … でも … こちらの方は …  皆さん良い日とご存知の「大安」 の 日だけでなく …  " 粒の日 ” と     いまもおっしゃったので … その! 膨れ上がる吉日の「 一粒万倍日 」 の事や … 最上の吉日の 「 天赦日 」や … 金運に関係する日の「 寅の日 」 「 巳の日 」等の開運日にもお詳しく  ですから … くじを購入する お日にち迄  こだわっているくらいの方なので … その 当たりを 待つ 思いは  より 大きく? その? お気持ちは強い方なのかもしれません なので … その様に 窓口で謂われてしまうと 私の方といたしましても  その対応に は … で …         そうなんです … なので 先ほどボヤキました様に この売り場はどんな時にでも的確に 対応できる知的な情報処理システム のAIの方が 善いのかな … なんて 思ってしまうのです…          でも … … タタタタタ  『 スミマセン!         助けて下さい!    僕!友達と初めてココに    来たんですけど!      はぐれてしまって …     いま! スマホも!      お金も持ってなぐて!           ココ!     どこだか分からないし … 』       …ㇵァㇵァㇵァ … ドキ! 「 … そう?    なんですね …   それは 困った       です ね … 」 その子は高校生くらいの男の子で … 「 初めてここに … 」なのでしたら? 遠くから? 観光で? 訪れて?        きたのでしょうか … ここまで 慌てて走ってきた様で  私は違うトコロを見ていても その足音も たしかにここまで     聞こえてはいたのですが … … ぅ~ん どう?        イタシマショウ … … でも もう少し お話をお伺いしないと        ですよ ね …    … おちついて ね 私 … 私は 私にも そう言い聞かせ … … しずかに ゆっくりと ね! 「 … ここへ は?     どうして?     来たんです? か? 」 … 焦 『 はい … 今日! は!   東京都?に 来て! で!    東京タワーに往ごうと …         友達 と   一緒だったんですけど …    駅から出て歩いてたら …          僕だけ …   トイレに行ぎたくなって …         だからみつけた     コンビニでかりて …           そんとき!      バッグを友達に           預けて …     で … 出できたら        居なぐなってて …     コッチまで探しながら?         来たんですけど … 』         …ㇵァㇵァㇵァ  … ぅんぅん 「・・・・」 … ぅん~ん それは …       確かに お困り で … でも … ちゃんと   これまでのお話もできています             よ ね … でしたら … ですね … … やっぱ り? ゆっくり ね! 「 … そうですか      大丈夫ですよ!   ほぉ~ら チョッと  振り返ってみて下さい   そのコンビニ は?   ここから …    見えてます よね   とても近くですから!    どう でしょう …   戻れます よ ね? …   もしかしたら …         まだ    そのコンビニの中で?   お友だちは      商品を見ながら?   待って居るのかも      しれないです …    あ!もしかしたら?    大きな?      商品棚とかで?   みえなかったのかな …   でしたら …       どうでしょう …        もう一度    そこへ戻って …          もし!    お友だちが居なければ      また ココに …    私は …      ココに居ますから … 」 私は … わざと 長々 に で … それを ゆっくり と! にして … その男の子が 落ちつくまで に してから … 私は 掌だけを 窓口の外にまで出して コンビニの方へ向けて    ゆっくりと動かし …      … キョロ ㇼ     「 … あ !! ほんどだ !!         は … い …         見えてます!              ね … 」 この男の子? は …  ちゃんと自分の状況が  お話ができる 状態で … もう大きいので 泣き出したり?        していません し …  でも? 慌てて?  走ってここまで来たのなら … 初めてのところで ビックリした?           だから驚いた だけで? … それに …  そうして走れたのなら?  体の具合も悪くは? なさそう?  なの で … あいにくと 私は防犯上 …  ここからは 離れられないので … 掌を … で …         ですが … まずは その様に  ご案内してみました … … にこ 「 … 大丈夫ですよ   そのコンビニまでは   ここからも見えますから      私もここで!    ちゃんと見ていますから! 」 その男の子? には  私がここからは出られないとは         言えませんので この様なお話のしかたに       なってしまいました … それでも …  「 見ていますよ … 」 に?       安心したのか? 男の子は頷くと … でも … こんどは ゆっくり …  やっぱり不安げに? コンビニへ向かって 歩き出し … 私は その後ろ姿がコンビニの中に   入って往くのを確認して て … すると …  それから 数分?で … その男の子は!  お友だち?と その コンビニから出てくると また こちらに向かって  こんどは 速足で歩いてきました …      スタスタスタ … スタスタスタ …    … ニコニコ     『 あのぉ~!       やっぱり友達は       コンビニの中に          居ました~!』 …ニコ 「 … そうでしたか?     ヨカッタですね!   私も安心いたしました!   それでは! このまま!        本日の目的地     東京タワーへ!は!       はい! ここ!   この道をまっすぐですよ!    ぜひ!     楽しんできてください!          どうぞ!     いってらっしゃいませ !! 」    … ペコリ    「 … ふぅ~! はい!       ゴシンパイオガケシテ!        スミマセンデシタ~!          ホンドに!      アリガトウゴザイマシタ!      じゃ!… 行ってきます!」            … ハハハハ   … なにやっでんだよぉ~!!            … うるせー      …ハハハハハハ! …ハハハハハハ!       …タタタタタタ …タタタタタ その男の子たちは ボールが 弾けるように はしゃぎながら ココから近くの 東京タワーへ 向かって 駆けて往きました … その後姿を見送っていると …          なんだか … いまの世の中 …  とても機能的に効率よく 便利にも なって いて … 彼らの様な若い人も …  それこそもっと小さなお子さんも  そんなアイテムに対する馴染みは      ずいぶんとあっても … いざ …  それらを手放してしまうと? 初めての場所で?  初めてのアクシデントの時には? こうして … 迷ってしまうのか  と … 私はこの " 箱の中に居る自分 ” が なにもできなくて … いつも 力不足です し …  ですからなにかと!  もどかしかったりも致しますが … はい … なので … なんでもできるAIの方が と … ついさっきまでも 思っておりましたが … ここは  オフィスビルが立ち並ぶ場所 … そんな …   まずは都心からと? コンビニなどでもどんどん AI化は進んでいるでしょうし … なのに? この売り場も無人になっていたら … そう思うと … こんなとき? 少しはそんな方々の      お役にたてている? の?  なんて? …           … なら …   ここのくじを 機械任せではなく お客さまと対面しながら の          そんな私の 手で … 私はこれからも ここで  くじをお売りしていこうかと … … ほ 「 … ヨカッタ … 」 あれ?… 東京タワーは? 今日は 何時まで営業してるのかな …
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