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3月２０日
お嬢様の日記に文字を書き記すことをお許しください。
3月10日の朝、ヴァロック様の腕に包まれてお起きになられたトリッテお嬢様は正気を失いました。それも無理ありません。なんせヴァロック様の首はシャンデリアの中心からぶら下がり首から下のお身体だけがお嬢様を包んでいたのですから。しかもその身体はお嬢様にきつく括りつけられており、お嬢様の悲鳴でその事態に気づいた私でさえ3日は眠れない程でした。
療養が必要と判断し、旦那様が静かな土地へとお嬢様に馬車を手配なさったのですが、不幸の事故が起きお嬢様は行方不明に。その同日、ヴァロック様の死体も行方不明になったと。
お嬢様、私は怖いです。一体このアトランテ家で何が起こっているのでしょうか。
従姉妹にあたるカトレナ様が「これからもよろしくね」と私におっしゃったのですが、どういうことでしょうか。今日から私がカトレナ様のメイドになるとのことですが、お嬢様はもうどこにもいないのでしょうか。とても幸せそうに微笑むカトレナ様が怖いです。
どうかトリッテお嬢様、帰ってきてください。
昔、気分に任せていばらの鞭で八つ当たりして叩いたりなんてしてごめんなさい。
もう二度としませんから。だからどうか、どうか帰ってきてください
バロッサめは、トリッテお嬢様に忠誠をお誓い致します
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