トリッテ・アトランテの日記

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 3月9日  ナタレイがまたもや、やってくれました。  私の婚約者に手を出したというではありませんか。  バロッサが教えてくれなければ私は知らないままでした。  カトレナ嬢のいないところで婚約者をみせつけていい気分になろうとしたのに、まさか、押し倒すだなんて。発見したバロッサが言うには、婚約者の腰の上に跨っていたというではありませんか。  許せません。絶対に許せません。  そのはしたない足から血が出なくなるまで私がいばらの鞭でたたいてやりました。  一生座って暮らせばいいんですわ。  ナタレイは向こうが誘ってきてだとかバロッサにはめられてなどと虚言ばかりで一言も謝らなかったんですのよ。当然の罰ですわ。  だけど私が叩いたとバレてはいけません。  口止めのためにバロッサに両頬に打ち込んで頂きました。パンパンに張れた顔を見れて漸く私の怒りは収まりました。ああ、私の愛しのヴァロック様。傷心の私をずっと抱きしめてくださいました。とても温かくて、心地よかったですわ。できれば、あの腕の中で一生を終えたいものですわ。
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