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トリッテ・アトランテの日記
3月4日
私のお気に入りのカップが割れました。
私の瞳と同じ色の桃色の花びらが縁に模られた可愛らしいカップ。お客様用として重宝していたものをナタレイが壊したの。何度かお茶会を開きましたが、私のお気に入りカップを割るほどの無礼を働いたのは彼女が初めてでした。平民上がりとはいえ貴族の一員となったのならば丁重にもてなそうと思っていたのですがこればっかりは許せませんでした。
勿論折檻を言い渡しました。
私のメイドは有能なの。私に躾をする時に愛用していたいばらの鞭を嬉々として持ちナタレイの背中に何度も打ちつけていたわ。あまりにも恍惚な顔でするものだから怖かったけれど、ナタレイが痛くて泣き叫ぶ様子を見たら溜飲が下がりましたわ。
ナタレイと親しいというカトレナ嬢が止めに入っていましたが、私のお気に入りカップを割った罰は受けなければいけないと言ったら納得してくれました。妙にメイドのバロッサを睨んでいましたが、私でさえあの鞭は怖いもの。睨むだけしかできない小心者なのでしょう。
所詮、友情とはそんなものですわ。
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