傷物の花嫁

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白無垢衣装を身に纏い、角隠しで顔まで隠して、その花嫁は嫁いで行きます。 黒二羽織に袴を拵えた花婿は花嫁を見つめ、いつものように嫌悪な表情<かお>で言いました。 「よかったなぁ、婚約が出来て……」 花婿は花嫁に近付くと、角隠しを剥ぎ取って花嫁の頬を鷲づかみにします。 「こんな面<ツラ>でも俺がお前を娶ってやるんだ。有難く思えよ?」 焼け爛れた顔を花婿はまじまじと見つめ、舌でなぞる様に痣を舐め上げました。 「はい、有難く存じます」「そうだ。それでいい……」 花婿は花嫁をきつく抱き締め、命令する様に囁きました。 祝儀の後、私は貴方のモノになる……。 それは二人の間で昔から契られていた約束でした。 「大きくなったら娶ってやるよ!」 幼心に交わした誓い。 「何があっても絶対に」 火鉢で出来てしまった傷物の花嫁を。 「だから、心配するな!!」 花婿は言いつけ通りに。 「傷物なんてやめときな?」 周りの反対を押し切って。 「嬉しゅう御座います。旦那様…」 私を…嫌々ながらも、娶って下さいます。
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