63人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの時の続き、もう、言ってもいいかな?」
「え? あの時の続き?」
「うん。美織ちゃんの言葉は誠実で、安心する。袋詰めも丁寧で、いい子だなって思ってた」
「また、お越しくださいませ」
美織は冗談めかして本当の気持ちを言葉に乗せた。
「ん。これからもよろしく」
美織は文月の瞳を覗き込んだ。「これからもよろしく」なんて、年賀状みたいな定型文の向こう側が知りたくて。
文月が腰を屈めて、美織の耳元に顔を寄せる。
「……だからさ、好きだよ」
言の葉が、美織の耳朶をそっと揺らした。
おわり
最初のコメントを投稿しよう!