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2. 仲良くなるのは午後4時
午後3時50分、美織は縦縞の制服に着替え終わるとロッカーを閉め、壁に貼りだしてあるシフト表をチェックした。
「えっ! ウソ!」
今日のシフトの欄は、田中が横線で消され「文月」と書き直してあった。美織は閉めたばかりのロッカーを慌ただしく開けて、トートバッグを探った。
小さなスティックを取り出し、クリクリと回す。ロッカーのドア裏の鏡を覗き込んで、珊瑚色の口紅を薄く引く。
――「好き」とかじゃないよ? ただちょっと、文月先輩とシフトが重なるのは貴重で、だから可愛く見られたい、だけ、で……。えーと、そうじゃなくて、これは身だしなみです、うん。
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