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(血液を凝固し、血流で筋肉を操作。弾を取り出します)
愛が急いで僕の身体を修復しようとする。
急いだ方がいいよ。僕が死んだら君も死ぬんだから。
そんなことを思いながら僕は、振り返ると数人の男たちが銃火器を構えてこちらを向いている。
その顔に浮かんでいるのは恐怖だ。
得体も知れない化け物を見た時のように表情が引き攣り、身体中が震えている。
遥か昔に僕もその感情を味わったことがあると思うがもう覚えていない。
僕は、彼らを見据えて目を細め、赤黒く染まった右腕を構える。
「一掃する。血を動かして」
僕は、愛に語りかける。
(拒否します。それよりも身体の修復が優先です)
僕は、心臓のある部分を左の拳で思い切り叩く。
「もう一度言うよ。血を動かして」
(・・・了解しました)
愛の言葉を受け、僕は、赤黒く染まった右手を男達に向ける。
5本の指が男達を指す。
五指の先端の皮膚がみかんの皮のように音を上げて裂ける。傷口からとろりと紅玉のような血が滲み出る。
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