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序章
「今川さん。お薬の時間です」
看護師が、昼食を食べ終えた私にそう言いながら、一包化した錠剤を手渡す。
「袋を切ってくれんか」
「もう切ってますよ。手のひらを上にして下さい」
私は看護師の言われるままに、右手を動かした。
私の手のひらに、5錠ほどの錠剤が載せられる。
それを口に入れると、看護師は無言でコップに入った水を目の前に突き出した。
私は右手でそれを受け取り、口に含ませて、錠剤と一緒に飲み込む。
「それじゃ夕食後もお願いします」
そう言いながら、看護師はそそくさと立ち去った。
「ここは刑務所みたいだな」
私は愚痴をこぼした。
それは、もはや口癖となっていた。
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