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「ダメです」
麗人は眉間に皺を寄せ、首を横に振った。
「あれほどわたくしがお諫めしたというのに、また全裸でお休みになるなど……サヴィトリ様はいったいどのような神経をしていらっしゃるのでしょうか。口で言ってもご理解いただけないようなので、僭越ながら、ちょっとしたお仕置きをさせていただきます」
これは犯行声明ととっていいだろう。どうあっても犯罪者になりたいらしい。
麗人は形のいい唇を弓形につり上げ、サヴィトリの頬にそっと右手を当てた。喉の中心から鎖骨の少し下まで線を引くように、左手の指先をゆっくりと這わせる。
「ちぇすとー」
やる気が微塵も感じられないかけ声が聞こえ、天井から何かが降ってきた。
麗人は露骨に嫌な顔をし、その場から素早く飛びのく。ちょうど入れ違いになるように、茶髪の青年がベッドのそばに降り立った。
「一体ナニしてるんですかカイラシュさん! いつまでたっても帰ってこないから様子を見に来てみれば……せっかくの朝ご飯が冷めちゃうじゃないですか!」
茶髪の青年は手に持っていたフライ返しを振りかざして抗議する。
こちらの青年にも見覚えがあったが、どうしても名前が出てこない。一過性の健忘症だろうか。
「ほら、サヴィトリもいつまでも寝てないで、起きて顔洗って着替えて朝ごは――」
サヴィトリの腕をつかんで強引に起きあがらせたところで、茶髪の青年はなぜか硬直してしまった。
数秒後、我に返った青年は顔から湯気が出そうなほど顔を赤くし、サヴィトリの身体に掛布をかぶせた。
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