2-6 女子会はジュースと共に

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「父?」 「あたし、こう見えて村長の娘なんです」 「村長の娘」にこう見えても何もない気がするが、サヴィトリはありがたく厚意を受け取ることにした。 「ありがとう、ユーリス。ニルニラはどっちがいい?」  サヴィトリは受け取ったジュースを見比べる。  イチゴミルクとアセロラレモン。  サヴィトリとしては、甘ったるそうなイチゴミルクよりも、さっぱりしていそうなアセロラレモンのほうがいい。 「イチゴミルク」  ニルニラは即答し、イチゴミルクの入ったほうを取った。 「イチゴが好きなのか。なんかわかりやすいな」 「何か文句があるのでございますか!?」 「古典の域に入るほどいかにも女の子って感じの選択だな、と」 「人の嗜好に文句をつけないでほしいのでございます!」 「あれ、褒めたつもりだったのだけれど」  サヴィトリはため息混じりに苦笑する。  正確には褒めたというより羨ましかった。女の子的な可愛らしさは、クリシュナのことを師匠と呼ぶようになってから意識的に避けてきた。強くなるため、泣かない子になるために、不必要なものだと思っていた。 「あの、失礼かもしれないんですけど、『美形ご一行様』はどちらからいらしたんですか? やっぱり都会?」  瞳をきらっきらに輝かせ、ユーリスが尋ねてきた。  サヴィトリとニルニラは顔を見合わせる。 「『美形ご一行様?』」  何やら妙な呼ばれ方をしているようだ。  色々ツッコミを入れたいところだが、とりあえず喉が渇いていたので、もらったジュースを飲む。酸味と甘さのバランスがちょうどいい。
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