47人が本棚に入れています
本棚に追加
「とびっきりの美人さんだけどやや変態なおねにーさま。クールな短髪剣士っていうイケメンキャラのテンプレみたいなおにーさん。あと、その二人よりもちょーっと見劣りするけど、朗らかな癒し系笑顔が母性本能をくすぐる地味系男子――それぞれ個性的でどれも捨てがたいですよね~」
ユーリスは頬に手を当て、熱っぽいため息をついた。
「ふーん、他人にはそう見えるのか。カイは人智を超えたド級の変態マゾ。ヴィクラムは脳筋で酒浸りのアホ。ジェイは、料理は上手いが腹の中は真っ黒け。どいつもこいつも、ろくなものではないな」
サヴィトリは一刀で三人を切り捨てる。
三人のうちの誰かを恋人になど、一瞬たりともよぎったことはない。
「結構ゼータクですね」
「ひどいフラグクラッシャーを見たのでございます」
ユーリスとニルニラが、示し合わせたかのように呆れたと言いたげな視線をむけてくる。意外と二人は似ているのかもしれない。
「いや、好きか嫌いかで言えばみんな好きだ。ただ、そういう対象としては見ていないというだけで」
「全力で粉砕しましたね、今」
「バッキバキでございます」
「?」
慌ててフォローをしたつもりが逆効果だったようだ。更に、二人の視線が鋭さを増す。
「ちなみに、あのカエルはどうなのでございますか? 人となりはよく知らないのでございますが、相当優秀な人物だと聞いているのでございます」
「ナーレ? うーん、会うのは久しぶりだったけれど、相変わらず性格悪いなぁと。三十路であんなんじゃあ、絶対に友達少ないと思う」
「……全滅なのでございます」
ニルニラは頭を抱えてしまった。
サヴィトリには、二人の反応の理由がまったくわからない。
最初のコメントを投稿しよう!