2-8 異世界FT通信 創刊号はなんと100円!

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「だが確かに、辺境の村などに行くと、なぜか不可解な頼み事をされることは多い」  肉と酒を消費するペースを落としたヴィクラムも会話に参加してきた。 「生えているかどうかも定かでない幻の薬草を峻嶮な山の山頂まで採りに行かされたり、魔物が多数生息する危険きわまりない洞窟に落とした婚約指輪を探しに行ったり、借りパクされたアイテムを取り戻すために秘境をたらいまわしにされたり――何事もなく帰れたことは一度もないな」 「この子の妄言を裏付けてどうするのさ馬鹿ラム!」 「ほらやっぱり。村長の頼みは問答無用で断るべきだ」  サヴィトリは勝ち誇り、ナーレンダの頭に人差し指をぐりぐりと押しつける。 「お取込み中のところ大変申し訳ないのですが、せめてお話だけでも聞いてはいただけないでしょうか……」  村長はめげずに、身体ごとサヴィトリ達の方に食いこんできた。 「俺の経験で言えば、話を聞くと自動的に受理したことになる」  ヴィクラムがさらりと村長の希望を打ち砕く。 「もー、みんなには相互扶助の精神とか一宿一飯の恩義とかないんですか? おつかいイベントの一つや二つくらい、やってあげたっていいと思いますよ」  意外とお節介なジェイも話に混じりだした。  ちなみにカイラシュとニルニラは、いまだに髪の毛をつかみ合い、丁寧かつ口汚く罵り合っている。 「村長さん、ここにいる地味な茶髪のジェイが一同を代表してなんでもやるって」  サヴィトリはジェイを生贄として差し出した。  ナーレンダもヴィクラムもその案に異論はないらしく、特に口をはさんでこない。 「俺、そろそろ本気出して転職を考えようかな……」  ジェイは明後日の方向をむいてはらはらと涙をこぼした。
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