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「本当に!?」
サヴィトリはつかみかかるような勢いで村長に尋ねてしまった。
むざむざ、相手の手札の価値を上げる行為だ。村長が性質の悪い輩だったら、足元を見られる可能性がある。
「昔、うっかり呪いの鎧を装備してしまったとある剣士が、泉の力によって無事に呪いを退けたとかなんとか。ただ、あくまで伝聞ですので効果の保証はできかねます。元々は年に一度の水天祭の時に使う水ですから、多少の御利益はあるかもしれません。それでもよければ、泉にご案内しますが」
当たり障りのない回答だった。
一般人からしてみると、解呪の泉などそれほど重要なものではないのだろう。そもそも、ごく普通に暮らしていれば、生命をおびやかす呪いを受けることなどない。
それに、下手にこちらの機嫌を損ねて魔物退治の話が立ち消えるほうが損失が大きいと踏んだのかもしれない。いつ来るかわからない救援を待つより、偶然村に立ち寄った猛将とその他ご一行に頼んだほうが、迅速かつ安くあがる。
「じゃあ引き受けよっか、サヴィトリ。ご飯と泊まる場所を提供してもらえる上に、人助けができて、しかも俺達の目的にも一歩近付ける――断る理由はないよね?」
ジェイは笑顔でサヴィトリの意思を確認する。
(ここまで話を聞いておいて、今更受けないというのもなんだし。ヴィクラムの言っていた、話を聞くと自動的に受理、って本当だな)
サヴィトリは内心苦笑し、首を縦に振った。
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