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「金髪緑眼」
断定するようにナーレンダが言った。
「見られる可能性としては、それが最有力だと思うね」
「これが?」
サヴィトリは半信半疑で、自分の金の髪を一房つまむ。
「金髪も緑眼も、さほど珍しい色じゃない。が、その両方を備えているのは、クベラ国内だとヴァルナ族だけ」
「ふーん? でも、村人全員その色、ってわけじゃなかったよ」
「ま、村人は半数近くが他からの移民だからね。それに先の乱のせいで、当時、十代後半から二十代後半だったヴァルナ族はほとんど亡くなってしまったらしい」
「……それで、どうして私が金髪緑眼だとヴァルナの村長にじろじろ見られるんだ?」
サヴィトリが結論を求めると、全員がさっと視線をそらした。肝心なところは誰にもわからないようだ。
「まぁ、もしかしたら村長さんが何か企んでることがあるかもしれないから、一応気を付けよう、ってことでいいんじゃない? それより、まずは採掘抗の魔物退治のほうを頑張んないとね」
そろそろお開きにしたい、という空気を控えめに出しながら、ジェイが話をまとめにかかる。
「……君は気に入らないけど、確かにそのとおりだ。たいした策もないのにみんなを呼びつけて悪かったね」
ナーレンダは小さく頭を下げた。謝っているのに、謝っている感じがまったくしない。
そう思ったのはサヴィトリだけではなかったらしく、ジェイが笑顔を微妙に引きつらせていた。
「最後にいいか、サヴィトリ。君は危険なことをするなよ。他の奴はどうなってもいいけど、君が傷付くのは絶対にダメだ」
ナーレンダは指を突きつけて念を押す。子供に言い聞かせるような声音だった。
ナーレンダにとって、自分はまだ幼い子供なのだろうか。
「守られるのは好きじゃない――って言いたいところだけど、それが最善であるならおとなしくしている。でも、動いたほうがいいと思ったら、多少危険なことでも私はやる。ナーレの文句も、あとで聞くよ」
ナーレンダからの反論が来る前に、サヴィトリは部屋を出た。
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